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【ステップアップ】千葉積水工業 インフラ整備の技術力PR

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【ステップアップ】千葉積水工業 インフラ整備の技術力PR

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管路内部の更生工法を再現  ■VC提案“実せる”展示施設

 千葉積水工業は、上下水道管や給水管といったインフラ関連商品の展示とデモンストレーションを行える施設「東日本バリューチェーン(VC)デモセンター」を新設した。東日本の自治体やゼネコン(総合建設会社)、デベロッパー、マンション管理組合などを対象に製品・設備を紹介。技術の高さを直接アピールすることによって、実需につなげていく。

 同社は積水化学工業のグループ会社で、塩化ビニール管などを生産している。こうした中、工場内に新たな拠点を設けた理由は、積水化学の事業戦略と密接にかかわってくる。

 社会インフラ関連事業を取り扱う「環境・ライフラインカンパニー」が現在力を入れているのは、バリューチェーンビジネス(VC)。製品の製造販売だけでなく調査・診断、設計、施工、維持管理といったエンジニアリング機能も合わせて提供する事業モデルを指す。

 事業を強化するに当たっては、商品群の性能と高度な施工体制を実際の目で確認してもらうことが先決。こうした考えに基づいてセンターを新設した。積水化学のVC戦略を支える“縁の下の力持ち”的な存在だ。

 新生・千葉積水工業のコンセプトは、VC提案を“実せる”工場。「実物に近いものを、実施工などを通じて体感してもらう」(千葉積水工業の松下嘉暢社長)といった考えに基づいている。また、社員のトレーニングの場としても活用する。

 例えば地中に埋められた排水管路。故意にひびを入れたり肉厚が薄い部分を作ったりすることで、顧客に診断技術を確認してもらうのが目的だ。

 管路の内部を更生する「SPR工法」の機械も実際に稼働させる。硬質塩ビ材をスパイラル状に内部に巻き付け、既設管と更生管の間隙に特殊材を充填(じゅうてん)することにより、既設管路と一体化した強固な複合管とする工法だ。

 日本には約45万キロの下水道管があり、50年という国が決めた耐用年数を超えた管の比率は現在の約2%から10年後には約10%になる。地面を開けなくても工事が行えるSPR工法へのニーズが高まるのは必至なだけに、実機のデモは受注拡大に向けた大きな武器となる。

 施設の中では千葉積水工業で生産している各種部材を展示。実演コーナーも設けている。

 また、東日本大震災を機に従業員だけでなく地域住民が安全に避難できる災害拠点として、防災対策を強化している点も千葉積水工業の特徴だ。敷地内の一角には「防災広場」を整備。災害時に炊き出しを行えるように防災かまど・キッチンを設けたほか、非常機材や食料を保管する防災倉庫を設置した。また、仮設トイレの配管システムを埋設した防災トイレも用意するなど、身近な設備を活用することによって、インフラ整備の重要性のアピールに力を入れる。(伊藤俊祐)

                   ◇

【会社概要】千葉積水工業

 ▽本社=千葉県市原市潤井戸2082

 ▽設立=1957年6月

 ▽資本金=4億5000万円

 ▽事業内容=合成樹脂製品の製造販売

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