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【未年に翔ける】富士フイルムHD会長・古森重隆さん(75)

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【未年に翔ける】富士フイルムHD会長・古森重隆さん(75)

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 ■ビッグデータ時代に向けて事業拡大

 --足元の事業環境は

 「ヘルスケアやイメージング事業などが想定以上に伸長した。ヘルスケア領域では、医療用のIT(情報技術)システムや超音波診断装置、内視鏡などの新製品を積極投入し、売り上げは10%以上伸びた。医薬品事業も堅調に推移している。2018年以降、特にアルツハイマー薬などのホームランバッターが出てくると期待している状況だ。今後は、バイオ医薬にも期待しているが、高度な生産技術が必要だ。このほど、ワクチン製造に強みを持つ米ケイロン・バイオセラピューティクスの買収を完了したが、独自の技術があり、期待できる。売り上げ規模で2桁は伸ばしたい」

 --デジタルカメラ事業は、低価格帯、中価格帯のコンパクトの台数減で減収要因になった

 「昨年まで数を売る戦略だったので、反動で減収要因になっているのはやむを得ない。今後はミラーレス中心にやっていく。特に高級機種の『Xシリーズ』のほか、超望遠や防水仕様などのコンパクトカメラが好評だ。今後は付加価値の高い製品を提供していく戦略だ」

 --インスタントカメラの「チェキ」やデータを保存する磁気テープの販売が好調だ

 「アナログ文化が見直されているのではないか。デジカメで撮影しても整理できていない人も多く、プリントする楽しみを伝えたい。磁気テープは、バリウム・フェライトという鉄粉の開発により、記録できるデータ容量が飛躍的に増えるという革新を起こせた。今後のビッグデータ時代に向けて事業を拡大したい」

 --設備投資の考え方は

 「毎年650億円程度を投資しており、当面は同規模で進める。大型の設備投資は一段落しており、今後は、液晶ディスプレーなどに必要なTACフィルムの設備改良などに投資をしていく」

 --エボラ出血熱の治療薬として期待を集める「アビガン」の治験が始まったが期待感は

 「世界で起きている感染症を救うための解決策になる薬を出していきたい。協力は惜しまない。アビガンに関しては、2万人分の在庫と30万人分の原薬がある。ギニアでの承認結果などをみて増産体制に入りたい」(那須慎一)

                   ◇

【プロフィル】古森重隆

 こもり・しげたか 東大経卒。1963年富士写真フイルム(現富士フイルムホールディングス)入社。96年富士フイルムヨーロッパ社長。2000年社長、03年社長兼CEO就任。12年6月から現職。長崎県出身。

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