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【未年に翔ける】三井物産社長・飯島彰己さん(64)

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【未年に翔ける】三井物産社長・飯島彰己さん(64)

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 ■つなぐ力・パートナー軸に非資源開拓

 --資源価格下落で経営環境は厳しい

 「2014年度から3カ年の中期経営計画を策定した昨年5月に比べ、鉄鉱石や原油価格も下落しており、収益も若干の影響は受ける。だが、新規の成長分野へ積極的に投資し、株主への利益還元、資本効率の維持を同時に実現する姿勢に変わりはない」

 --資源・エネルギー戦略は

 「引き続き強靱(きょうじん)なキャッシュを生み出す成長分野だ。資源安の今は有利な面もあり、資産の入れ替えと同時に10年、20年の視点で競争力のある権益も取得していく。液化天然ガス(LNG)も20年には今の2倍の需要が見込まれる。モザンビークLNGの投資を14年度中にも決定するほか、将来のサハリン2の拡張なども控えている。日本はもちろん、インドなどアジアの安定供給にも貢献したい」

 --非資源をどう伸ばすかが経営課題だ

 「食料・農業やヘルスケアなど7つの成長分野で、総合力と部門を超えたつなぐ力で新たな成長投資の機会を探る。食料・農業ではブラジルの農業事業と貨物鉄道事業による物流コスト改善を目指し、ミャンマーでは精米事業と農業効率化に役立つ農業機械、肥料事業との相乗効果を狙っている」

 --グローバルパートナー戦略を広げている

 「パートナーを軸に非資源の事業を広げたい。ヴァーレとの戦略提携はモザンビークでの原料炭開発から石炭輸送の貨物鉄道、港湾開発など、国造りに貢献するインフラ事業にもつながった。インドネシア財閥リッポー・グループとは、次世代高速通信やデータセンター事業に加え、食料も検討中だ。マレーシア政府系ファンド、カザナ・ナショナルと病院事業や都市開発、チリ資源大手コデルコとも関係を強化している」

 --国内事業への取り組みは

 「国内支社・支店の態勢を強化してきた。農業の規制改革で国家戦略特区に選ばれた兵庫県養父(やぶ)市に社員を派遣し、共同で農産物の販路開拓に取り組んでいる。同市の農業改革モデルを全国に広げ、地方活性化に貢献したい。アジアでの病院事業の経験から、やり方次第で医療の事業性が高いことは実証済みだ。農業や医療の規制緩和を進めれば国内もチャンスは広がると思う」(上原すみ子)

【プロフィル】飯島彰己

 いいじま・まさみ 横浜国大経営卒、1974年三井物産入社。2006年執行役員金属資源本部長。常務、専務を経て09年4月から現職。神奈川県出身。

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