SankeiBiz for mobile

【未年に翔ける】東レ社長・日覚昭広さん(66)

ニュースカテゴリ:企業のメーカー

【未年に翔ける】東レ社長・日覚昭広さん(66)

更新

東レ日覚昭広社長  ■炭素繊維中間加工や新量産工場検討

 --2014年度から始まった3カ年の経営計画の進捗(しんちょく)は

 「これまで取り組んできた環境関連事業やアジア・新興国の市場開拓、費用削減の成果が計画通りに出ている。新たに始めた医療分野や米国事業の拡大は神戸医療産業都市(兵庫県)に研究・開発拠点を設置し、米シェールガス革命で先端素材の(軽くて強度の高い)炭素繊維の(圧力容器向け)出荷を増やした」

 --16年度までの3年間で約4000億円の設備投資を計画している

 「投資の3割以上を占める炭素繊維関連は、昨年2月に買収した米炭素繊維メーカー、ゾルテックの生産能力増強などでかなり増える。繊維事業もエアバッグ用基布や紙おむつ用不織布などが伸びているので総投資額は1割近く上振れしそうだ」

 --トヨタ自動車の燃料電池車が構造部品に初めて炭素繊維を採用した

 「高品質の炭素繊維は航空機部材向けが主流なのは変わらないが、ゾルテックが製造する比較的安価なものは自動車への採用が増える。ゾルテックの生産能力は現状の約2倍の年3万トン近くまで引き上げる考えだ。燃料電池車には高い耐圧性が求められる水素タンクに高品質な炭素繊維も使われており、普及すれば確実に販売量は伸びる」

 --部品会社への資本参加や事業買収を進めている

 「炭素繊維の中間加工まで手掛け、(自動車メーカーに)用途を示して『出口』を確保していく必要がある。米プラサン・カーボン・コンポジットに資本参加し、日本では童夢グループの部品事業を子会社化した。鉄道の軽量化などでも試作の依頼があり、生産能力は増やす必要がある。これまでは開発拠点が主なので、タイにしかない量産工場の新設を検討している」

 --米航空機大手ボーイングから今後10年で1兆円超の受注を決め、共同開発を始める

 「(ボーイングの)目的にかなう機能と加工などの効率の良い組み合わせを一緒に開発し、徹底的にコスト競争力の高いものをつくる。従来のやり方では数%のコストダウンしかできないが、共同で取り組めば2~3割の費用を削減できる可能性がある」

                   ◇

【プロフィル】日覚昭広

 にっかく・あきひろ 東大院修了。1973年東レ入社。常務取締役エンジニアリング部門長、副社長などを経て2010年6月から現職。兵庫県出身。

ランキング