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【フジテレビ商品研究所 優品ズームアップ】マツダ
更新
今年度のキッズデザイン大賞総理大臣賞を受賞した4つの技術「マツダ・テクノロジー・フォーキッズ」をすべて搭載した「CX-5」 □マツダ「マツダ・テクノロジー・フォー・キッズ」
■「走る歓び」と「幼児の安全」両立
乗用車の安全技術といえば、自動停止や車線逸脱防止など、最先端の技術を応用したものばかりが注目されがちだ。一方、今年度のキッズデザイン大賞の最優秀賞となる内閣総理大臣賞は、マツダが幼児の安全に地道に取り組んできた成果の総称「マツダ・テクノロジー・フォー・キッズ」が、自動車技術として初めての受賞を果たした。
◆行動の特徴を考慮
2001年、マツダは、自動車の幼児語「ブーブー」に相当する英語「Zoom Zoom」を自社ブランドを表現する言葉に採用した。幼い子供が感じる動くものへの憧れや感動を持ち続けてもらうことを目指して、クルマを利用する“すべての人”に「走る歓び」と「優れた環境安全性能」を提供するものづくりの姿勢を表現したものだという。
安全や快適性に関する技術開発は、子供たちにクルマ好きになってもらうためには欠かすことができない。マツダでは、子供ならではの行動の特徴を考慮しながら、多くの安全技術を実際に乗用車に搭載してきた。その成果のうち、4つの技術で、キッズデザイン協議会のキッズデザイン賞に応募し、加入した翌年の初めての応募で「内閣総理大臣賞」を受賞するという快挙を果たした。
親に手を引かれて歩いていた幼児も5歳くらいになると、一人で歩き回るようになる。親が近くに居るとクルマに対する警戒心が薄れ、クルマが止まってくれると思い込んで行動したり、仲間に続いて飛び出したりといった行動が事故につながる。
◆Aピラーによる死角軽減
特に、ドライバーの視線を遮って死角を生じやすいのが、右左折時のAピラー(フロントガラスサイドの柱)周辺だ。最近の卵形のデザインの人気車種に多い前方に張り出したAピラーは、横断歩道に立つ子供の姿を遮ってしまう。マツダでは、5歳児の身長(100センチ)を基準に、子供の頭がしっかりと視認できる視界が確保できるAピラーの形を検討。ピラーの位置を手前に引いて、フロントガラスの見開き角度を大きくしたデザインを採用した。
併せて、ドアミラーの取り付け位置もコーナー部からドア部に変更。取付け位置が低くなったことでドアミラーの上部から子供の頭が確認できるようになった。
また、ピラーとドアミラーの間に子供の体の幅が見える分の隙間を設けたことで、子供がどちらに進んでいるかも判断できるようになった。
Aピラー周辺の斜め前方が確認しやすくなったことは、子供の安全に限らず、右左折時の状況確認やカーブした道の見通しなど運転全般の安全性向上への寄与も大きい。これら斜め前方視界の改善は、CX-5を皮切りに、アテンザ、アクセラ、新型デミオと、モデルチェンジに併せて順次各車種に採用されている。
◆モニターで左前方カバー
クルマの危険性について十分理解できず、クルマの影などにしゃがみ込んで遊ぶことが多いのも、幼児の行動の特徴の一つだ。特に、車高の高いクルマの場合などでは、左前方のタイヤ付近が見えにくい。ここでうずくまって遊んでいる子供が居てもしっかり確認できるように、車高の高いCX-5に採用したのが、サイドモニターシステムだ。助手席側ドアミラーに内蔵したカメラで死角エリアの情報をキャッチし、車内のディスプレーに映し出す。広範囲をカバーする一方でタイヤ付近を中心に大きく映し出すレンズ設計を採用し、小さな子供がいた場合しっかりと確認できるよう配慮している。もちろん、道幅の狭い道路での脱輪防止にも有効だ。
運転者がキーを持ったまま荷室への荷物の積み下ろしを行うことは、日常少なからず経験するシーンだ。しかし、通常のキーレスエントリーシステム(電子キー)の場合、大人が目を離した一瞬、子供が運転席に移ってエンジンを誤始動する可能性もある。子供は大人のすることをよく見ており、ともすればそのまねをしたがるもの。マツダでは、荷室エリアに鍵があってリアゲートが開いている場合にはエンジンが始動しない、エンジン誤動作防止機能付きの“アドバンスト キーレスエントリーシステム”を12年以降各車種に導入している。
◆車酔い防ぐ運転サポートも
さらに、クルマに乗っている子供の快適性を損なう大きな要因である車酔い対策にも取り組んでいる。車酔いの主な原因である揺れに着目し、運転時の加速度変化を調べて指標化。子供を車酔いさせにくい、スムーズな運転操作の習得をサポートするi-DM(インテリジェント・ドライブ・マスター)を開発。
エンジンの回転数を極力一定にし、急加速・急停止を避ける“やさしい運転”ができている場合は緑のランプが点灯。急加速・急停止を避けながらも、道路事情に応じた“しなやかな運転”ができている場合は、青いランプが点灯して、車酔いしにくい運転ができているかどうかを客観的に知ることができる。ちなみに、青いランプの“しなやか運転”モードは、同社最上位クラスのテストドライバーの運転を参考にして設定されているという。まさに、「走る歓び」と「安全」を両立させた運転に導いてくれる、良いガイドとなるのではないだろうか。
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■フジテレビ商品研究所
「企業」「マスコミ」「消費者」をつなぐ専門家集団として1985年に誕生した「エフシージー総合研究所」(東京都江東区、従業員40人)内に設けられた研究機関。「美容科学」「食品料理」「環境科学」「生活科学」の各研究室で暮らしに密着したテーマについて研究を行っている。