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うるる、労働力不足の懸念払拭 ネット事業で在宅ワーカー活用

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うるる、労働力不足の懸念払拭 ネット事業で在宅ワーカー活用

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うるるの星知也社長(左)と写真販売システム「園ナビフォト」を発案した新規事業部の野坂枝美さん  うるるは、クラウドソーシングをはじめ、インターネットを活用したさまざまな事業を展開している。それらの事業に共通しているのは、在宅ワーカーを活用している点だ。星知也社長は「在宅ワークをスタンダード化するのが使命」と意気込む。

 うるるは、クラウドソーシングサイト「シュフティ」を8年前から運営し、在宅ワーカーと仕事の発注主を仲介している。仲介する仕事はデータ入力や翻訳といった、子育て中の主婦でもこなせる簡単なものが中心。プログラミングのように、一定水準の技能を求められることが多い他のクラウドソーシングとは一線を画している。

 登録するワーカーの8、9割は女性で、うち半分を主婦が占める。とはいえ、中には月に40万~50万円を稼ぐ人も。昨年後半には8000人増えた月もあり、1月下旬には早くも10万人を突破。星社長は「1年後に25万人を目指す」と意気込む。

 一方、同社は官公庁などの入札・落札情報を企業に提供するサービス「NJSS(エヌジェス)」を展開。在宅ワーカー約140人が、全国の官公庁と自治体5523機関のサイトから新たに公示された情報を週に3回チェック。それらをデータベース登録することで、顧客企業は情報を一括検索できる。

 「入札情報を得るには、官公庁のサイトを随時チェックするか、窓口へ出向かなくてはならない。企業が自社ですべての入札情報をチェックすることは物理的に難しい」と星社長。

 NJSSに似たサービスは他にもあり、同社はむしろ後発に属する。もっとも、効率化のため情報をネット上で機械的に集める競合他社に対し、人力で収集することで差別化。その方が情報の見落としを防げるのだという。同社は今や、市場シェアの6割以上を握る。

 そんな同社が新しい経営の柱に育てようとしているのが、昨年10月から幼稚園・保育園向けに提供を始めた写真販売システム「園ナビフォト」だ。

 このシステムを使えば、親は撮影された写真をパソコンやスマートフォンから簡単に購入できる。同社はシステムは無料、写真は1枚25円(L判)で幼稚園や保育園に提供。導入で作業負担を減らせるほか、自由に販売価格を設定し、差額を収益として得られるようにした。

 4月には被写体の子供の名前をタグ付けする機能を追加し、親が膨大な数の写真から子供の写真を探す手間を省く予定。このタグ付け作業に、やはり在宅ワーカーを活用する方針だ。

 同社が在宅ワーカーの普及を目指し始めた背景の一つに、団塊世代が大量に退職し、労働力不足が深刻化する「2007年問題」の到来があった。それから7年。少子化に歯止めがかからず、労働力不足への懸念は払拭されていない。「在宅ワーカーという今までにない労働力を活用することで、新しい価値を持ったサービスを作れる」。星社長はそう力を込める。(井田通人)

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【会社概要】うるる

 ▽本社=東京都中央区晴海3丁目12-1 KDX晴海ビル9階

 ▽設立=2001年8月

 ▽資本金=3億3081万3000円

 ▽従業員=70人

 ▽事業内容=在宅ワーカーを活用したインターネットビジネス

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