SankeiBiz for mobile

水ing、バイオマス発電・肥料原料回収 下水汚泥収益化に自治体が注目

ニュースカテゴリ:企業の中小企業

水ing、バイオマス発電・肥料原料回収 下水汚泥収益化に自治体が注目

更新

汚泥やコーヒー粕を使った下水道バイオマス発電施設とそのボイラーを使った「足湯」。市民らの憩いの場となっている=富山県黒部市  水事業の総合サービス「水ing」が手がける、下水汚泥のバイオマス発電や肥料原料のリン回収の委託事業が全国自治体で注目されている。これまで下水汚泥は埋め立て処分や業者による有料引き取りなど財政を圧迫するお荷物だった。だが、売電収入などにつながる宝の山に変えられると期待され、受託実績が増えている。

 契機となったのが、富山県黒部市で下水道バイオマス発電施設の建設と運営管理を受託した全国初の下水道PFI(民間資金を活用した社会資本整備)事業だ。汚泥や生ゴミ、コーヒー粕を発酵させてメタンガスを発生させ、ガスタービン発電で約74世帯分の電気を賄う。2011年に完成した発電施設は出力95キロワットで、年間2万4000立方メートルの汚泥と2800立方メートルのコーヒー粕を処理する。

 自治体は処理コストを削減できる上にガスの売却費や土地の貸付料などの収入増につながるほか、水ingも売電で収益をあげられる仕組みだ。発生した熱で沸かした湯を使った足湯も市民や観光客の憩いの場として人気スポットになっている。

 黒部市の浄化センターには、同社が2000年代前半に開発したコーヒー粕と汚泥を使った高効率発電設備が活躍している。近隣の飲料メーカーの産業廃棄物だったコーヒー粕は、カロリーが高く汚泥と混ぜると高温発酵でガス発生量が増え、エネルギー効率が大幅に高まる。

 コーヒー粕も産業廃棄物だったが、再生可能エネルギー固定価格買取制度を活用し、売電収入を生む“宝”に変わった。

 昨年は山形県鶴岡市と茨城県守谷市から相次いで、汚泥を使った発電設備の建設から維持管理までを受託、これまでの実績をベースに自治体からの引き合いも増えているという。

 下水道を運営する自治体を取り巻く環境は厳しい。50年以上経過する老朽化した下水管は20年後には現状の10倍となる約10万キロに達し、財政を圧迫する。少子化による人口減少で住民負担は一層重くなる。自治体が自らバイオガス発電に乗り出す事例もあるが「民間の提案力やコスト競争力、運営ノウハウを生かした循環システムを生かせるチャンスは増える」とプロジェクト技術本部の伊藤哲也技術グループ長は意気込む。

 一方、神戸市などとは汚泥から高効率にリンを回収するプロジェクトも進めている。回収したリンを肥料として販売する登録申請を行い、近く売り出す見通しだ。全量を輸入に頼る肥料原料のリンを国内で確保することが可能になるため、新たな収入源を増やせるとみている。

 同社は2009年、荏原グループの水処理部門を統合し、「荏原エンジニアリングサービス」として発足、三菱商事と日揮の資本参加を経て、11年に「水ing」に社名変更した。(上原すみ子)

                  ◇

【会社概要】水ing

 ▽本社=東京都港区港南1-7-18

 ▽設立=2009年

 ▽資本金=55億円

 ▽従業員=3306人

 ▽事業内容=上下水道のプラント設計や保守管理・運営、バイオマス利活用事業

ランキング