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トヨタ、中国・メキシコに新工場 体質強化の「踊り場」脱出 新たな成長で攻勢

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トヨタ、中国・メキシコに新工場 体質強化の「踊り場」脱出 新たな成長で攻勢

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トヨタとフォルクスワーゲン  トヨタ自動車が中国とメキシコでの新工場建設に乗り出す背景には、生産改革などによる体質強化が進んだことがある。ライバルのVWが中国での生産増強などでトヨタ越えを鮮明にする中、トヨタも攻めの姿勢に舵を切る。

 「2005年ごろは年に2つから4つの新工場を建て、生産が50万から60万台増えていた。結果的に過剰能力を抱えてしまった」

 トヨタ幹部はリーマン・ショック後に赤字に転落した当時を振り返る。世界的な販売低迷に加え、工場の固定費がかさんだことで、09年3月期は4610億円の営業赤字に転落した。

 09~10年には大規模リコール(回収・無償修理)問題も発生。品質への信頼も揺らぐ中、豊田章男社長は拡大路線と決別。13年4月から工場新設を3年間凍結し、「意志ある踊り場」(豊田社長)として、体質改善を優先してきた。

 投資の効率化や既存設備を最大限活用した結果、09年に7割だったグローバルの工場稼働率は9割超に向上。15年3月期に過去最高の営業利益2兆7千億円を見込む原動力となった。

 生産技術についても設備の小型化や簡素化を進め、新たに工場を建設する場合の初期投資は「08年に比べて4割減らせる」(幹部)メドが立った。

 需要が堅調な米国や中国などでは生産拡大の機運が高まっており、凍結解除は「時間の問題」(豊田社長)だった。

 VWは14年のグループ世界販売が1014万台となり、トヨタ(1023万台)に肉薄。得意とする中国では19年までに生産能力を500万台規模に引き上げる計画で、トヨタが先行してきた米国などでも切り崩しを狙う。

 工場新設に踏み出すトヨタ。従来の拡大路線とは一線を画す“質”を伴った成長を実現できるかが、改めて問われることになる。

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