--2014年10~12月期に、新規物流センターを10件受託した
「アパレルから食品、コンビニエンスストアや100円ショップまで引き合いがあるが、医薬品や医療機器が伸びている。食品は(商品の取扱量が)比較的安定しているが、アパレルは季節による波が大きい。取扱量が最大5倍も変動するので、波動に対する(物流コントロールの)仕組みをいかに整えるかがポイントだ」
--3PL(サード・パーティー・ロジスティクス、第三者物流)のパイオニア的存在だ
「3PLは、お客さまに代わって物流センターの運営や配送を引き受ける、つまり物流が流通の仕事の一部を肩代わりすることだから『物流通業』だと私は言っている。詰まった部分を取り除くという意味で、下水道工事屋さんと同じ。無駄を徹底的に排除して(物流通の)『流れ』を良くするアイデアを出すことが3PLの役割だ」
--機械やシステムだけに頼るのではなく、人の可能性に注目して物流コストを削減するところに強みがある
「うちのコスト競争力が高いのは、ハイテクな機械を導入して合理化を進めているからだと思われているが、そうではない。機械では能力をオーバーしたら対応できないし、処理量やスピードが機械の性能で決まってしまう。その意味で自動倉庫も補完的な存在だ」
--ベテランのパートから新人まで全員が毎日交代で現場リーダーを務める「日替わり班長」制度や、パートを含む全社員が1日50円のコストダウンを実践する運動などで、無駄取りを実践している
「物流センターは女性の多い職場で、現場を仕切る『お局』の顔色をうかがって仕事をするようになりがちだ。これではお局の実力以上に、現場スタッフの力が伸びなくなる。全員がリーダーを務めるルールにすれば、全員が頑張るようになる」
--全員参加、コミュニケーション、「日々収支」が物流センターの業務改善を支える柱だ
「1年で1000万円もうけることは、1人では難しい。でも1000万円を月割りにすれば約84万円で、1日当たり約2.8万円の計算になる。それを100人で割れば280円になるから、全員が1日にそれだけの無駄を省けば利益を達成できる」
「上が『これをやりなさい』と言っても下がやっていないのは、コミュニケーションが不足しているからだ。『上からこうしなさいと指示することは一切まかりならん、上司はまず部下の話を聞け』と言っている」
--各トラックの売り上げから日割りの管理費や燃料費、人件費などを差し引き、毎日収支を管理する日々収支が利益の源泉だ
「モノを売る人は、商品の原価が分かって値段を決めているが、サービス業の場合は価格が先に決まり、そこで利益を出せなければ赤字になる。月次決算だと、決算日から日がたつうちに、いつどんな理由で数字が悪くなったのか分からなくなる。改善しようと思っても、答えが分からなければ手がつけられない。だから、日々収支を行っている。これを全物流センターで実践しているから、大きな強みになる」
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【プロフィル】大須賀正孝
おおすか・まさたか 中学校卒。1956年にヤマハ発動機入社。青果仲介業などを経て、71年に浜松協同運送(現・ハマキョウレックス)を設立し、2003年3月に東証1部上場。07年6月から現職。74歳。浜松市出身。