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自動車大手、インド市場に投資拡大 スズキは新工場、ホンダは能力増強 モディ政権で市場回復

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自動車大手、インド市場に投資拡大 スズキは新工場、ホンダは能力増強 モディ政権で市場回復

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インドの市街地を走る日本車メーカー車=チェンナイ  国内自動車大手がインドでの生産能力増強や販売網拡大に動いている。スズキは約600億円を投じて新工場を建設するほか、ホンダも来年までに生産能力を年30万台に高める。誕生から1年を迎えたモディ政権下で、昨年の乗用車販売は2年ぶりに回復した。東南アジアなどが伸び悩む中、成長市場として改めて注目が集まるインドでは、現地勢や欧米勢を交えた競争が激化している。(松岡朋枝)

 「(2015年度は)インドで10%ぐらいの伸びを期待している」

 スズキ幹部はこう自信を見せる。子会社のマルチ・スズキは現地で45%のシェアを確保し、1月から北西部グジャラート州で新工場の建設に乗り出した。投資額は約600億円で、17年の稼働を予定する。

 完成すればスズキのインドにおける生産能力は日本の販売台数の2倍超にあたる175万台に拡大する。鈴木修会長は「新時代の幕開け」と位置づける。

 ホンダも14年に第2工場を稼働し、生産能力を24万台に拡大した。さらに72億円を投じ、16年中に生産能力を6万台増やす。

 出遅れが目立っていたホンダだが、現地で人気のディーゼル車などを投入した結果、14年度のシェアは7%で4位に浮上した。15年度も前年度比32%増の23万1千台と強気の計画だ。

 一方、トヨタ自動車はインド向けに開発した小型車「エティオス」の投入で12年度は17万台を販売したが、14年度は13万5千台と苦戦を強いられている。

 インド自動車工業会によると、14年度の乗用車販売は3・9%増の260万1111台で、2年ぶりに増加した。経済改革を掲げるモディ政権の誕生により株価が上昇したほか、燃料価格やローン金利が低下したことも追い風となった。

 米調査会社フロスト&サリバン自動車・交通運輸部門南アジア地域ディレクターのカウシーク・マドハヴァン氏は、インドの自動車市場について、政府の金利政策が市場の成長を左右するとしながらも「20年に(日本を上回る)530万台規模に拡大する」と予測する。

 米フォードや現地のマヒンドラ・アンド・マヒンドラなども生産能力の拡大に乗り出している。対するマルチ・スズキは農村部への販売を強化、トヨタも現地ディーラーの協力で販売網の拡大を急いでいる。

 企業のインド進出を支援するコンサルティング会社エルエス・パートナーズの松野小百合社長は「インドの自動車市場の成長を支えたのは農村部。いかに販売網を拡大できるかが業績を左右する」と指摘した。

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