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【健康と向き合い一世紀】(4)家族や地域つなぐ甘酸っぱい味わい
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家族や地域をつなぐ共通の話題を持つことで、毎日の暮らしにハリが生まれる 日本社会が今後、超高齢化社会を迎えるにあたり、高齢者が健やかに毎日を過ごせる環境を整えていくことは大きな課題である。カルピス社は飲料メーカーとして体に良いものを提供していくことはもちろん、“心の健康”を促進することにも着目し、研究を続けている。
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愛媛県上島町を構成する島のひとつ「岩城島」。温暖な気候に恵まれ、穏やかな瀬戸内海の中央部に浮かぶ自然豊かな島は、みずみずしいレモンが育つことから、「青いレモンの島」のキャッチフレーズでも知られている。
◆作って飲むことでハリ
上島町全体の人口約7500人における65歳以上の割合は40%(2013年4月時点)に達し、これは、約50年後の日本の縮図に近い。この島を将来の日本社会と仮定し、「カルピス」の継続飲用による心身の健康度への効果を検証する調査が行われた。
調査対象は、上島町岩城島在住の男女118人(平均年齢71.4歳)。「カルピス」30ミリリットルを自身で希釈して調製し、1日1杯を8週間継続飲用する。前後には8週間ずつ、同飲料を飲まない非飲用期間を設けることで、飲用期間と比較。4週ごとに健康関連のQOL(生活の質)を評価する調査票「SF-8」、8週ごとに精神健康度、体調に関するアンケートを実施し、統計的に評価を行った。
今回の調査結果においては、「カルピス」の飲用期間8週間の前後において、「全体的健康感」「日常役割機能(精神)」「心の健康」など、複数の評価項目においてスコアの上昇が見られた。一方、カルピスを飲用しない非飲用期間では有意なスコアの上昇は表れていない。また、精神健康度や体調アンケートにおいても、スコアの向上や改善が認められるという結果が得られた。
調査に参加した高齢者からは「『カルピス』をコップに入れて作るのがとても楽しみになった」「夫婦で調査に参加し、共通の話題ができて会話が増えた」など、毎日作って飲む行動を習慣にしたことで、暮らしにハリが出たとの声も聞こえた。また、「幼い頃に亡き母が作ってくれたことを思い出した」「『カルピス』をお中元でいただくと、子供心にうれしかった」「子供が幼い頃によく飲ませていた」など、子供の頃の母との思い出、自分自身の子育て時代などに思い出を重ねた参加者も多い。
◆日本文化として根付く
岩城島では「カルピス」の調査をきっかけに広がった高齢者同士のコミュニケーションの輪を、さらに世代を超えた交流イベントへと発展させているという。島に唯一ある保育所で、高齢者による「絵本読み聞かせ会」を行い、子供たちと一緒に「カルピス」を作って飲むなど、コミュニケーションの橋渡し役として役立てられている。“水で希釈する”という簡便な作業は毎日続けやすく、誰もがその作り方や味を知る長く親しまれてきた飲料だからこそ、家族や地域をつなぐ共通の話題にもなりやすい。食品や飲料は、時代ごとのはやりが移り変わり、消費者の年齢の積み重ねによって好みも変化するため、ひとつのものが世代を問わずに愛され続けるという例は希少である。
カルピス社は、水で希釈するというひと手間を、その甘酸っぱい味わいとともに、96年かけて日本の文化として根付かせてきた。そして、「『カルピス』を作って飲む」という文化が人と人とのコミュニケーションを生み出し、心の健康へと導いていることを大きな価値とし、次世代へと受け継がれていく。