春闘相場をリードする自動車大手の労働組合は17日、2016年春闘の要求書を経営側に提出した。トヨタ自動車など8社の労組はベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分として前年の半分となる月額3000円を要求し、足並みをそろえた。株安・円高などの逆風も吹く中、ベアや高水準の一時金をめぐって激しい交渉が予想される。全トヨタ労働組合連合会の金子晃浩事務局長は同日の記者会見で「(円高など)足元は大変厳しい要素があり、決して簡単な交渉ではない」と気を引き締めた。鉄鋼、造船重機大手の労組はすでに要求書を提出しており、電機大手の労組も18日までに提出する。
自動車大手労組のベア要求額が前年の6000円を下回ったのは、物価上昇が落ち着いていることに加え、取引先の中小企業などとの「格差を是正し、産業全体で底上げを図る」(労組幹部)ためだ。
一時金については、好調な業績を背景に、ホンダを除く7社の労組が、前年並みかそれ以上を要求した。
会社側は3月16日に回答する見通し。裾野が広く、景気の牽引(けんいん)役である自動車業界でどこまでベアの動きが広がるかは、日本経済の先行きに影響する。

