森永アイス「パルム」人気急騰の理由 “ハーゲンダッツ未満”で追い風
配信元:PRESIDENT Online 更新宇田川氏は「発売初年度に比べて10倍の売上高になった」と説明する。ちなみに筆者が3年前に取材した際は「8倍」だった。その後、さらに拡大したのだ。
発売当初から「大人向け」を訴求
実は、昔のアイスと現在のアイスでは消費者層が違う。アイスクリームプレス社の二村英彰社長はこう説明する。
「昔のアイスは、『子供のおやつ』で、お母さんが小売店で子供向けに買ったり、子供がお小遣いをにぎりしめて1本買ったりするという商品でした。それが各メーカーの販売戦略の成功もあり、現在のアイスは『大人向けスイーツ』に変わったのです」
パルムの主要顧客層は「40代から60代の女性が全体の4割を占める」(宇田川氏)ということで、これも二村氏の話を裏付ける。1本売りの個別タイプは20代、30代の独身女性に、「マルチパック」と呼ばれる箱売りは主婦層に支持されているという。興味深いのは、パルムは05年の発売当初から「大人」に訴求していたこと。なぜ、大人にターゲットを絞ったのだろうか?
「当時すでに少子高齢化が社会問題となっており、今後の国内市場を考えた場合、社内では『アイスクリームも子供向けではむずかしい』と危機感を持っていました。価格や量よりも質を重視する大人が満足するアイスを提供したい、思いもありました」(宇田川氏)
こうして発売されたパルムだが、当初は苦戦した。箱売りでは競合品が1箱約300円のところ、パルムは約350円。この価格差が流通との商談の壁となり、なかなかアイス売場に置いてもらえなかった。そこで注力したのが「試食体験」だ。商品を置いてもらえた売場で積極的に試食販売を行い、来店客に実感してもらった。そこで売上成績が上がると、その資料を持って別の店に訴求する--といった地道な活動で顧客を広げたのだ。
