【モノづくり激震 不正の構図(中)】 日産、スバル無資格検査 問われる「現場の強さ」 傷ついたブランド 販売へも余波
更新この販売店の40歳代の男性マネジャーは日産のモノづくりや商品力を信頼してきた。それだけに生産現場でのルール違反には複雑な心境だ。
「もったいないし、残念。早くウミを出して、立ち直ってほしい」
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「現場のコントロールが課題だ」。日産の西(さい)川(かわ)広人社長は今回の問題の要因についてこう話した。
日産は現時点では、問題の原因が現場にあるとみている。販売拡大を進める中、現場が生産性を上げようとした結果、資格者だけが担当すべき新車製造の最終工程「完成検査」に無資格の検査員が携わることになった可能性が高いとの分析だ。
ある日産幹部は「現場は速く、効率よく、安く、というモノづくりをしていた。でもルールを守れていなかった」と肩を落とす。
日本の製造業を代表する自動車産業の原動力は「現場の強さ」だった。徹底してムダを省き、緻密な部品管理を行うトヨタ自動車の「トヨタ生産方式」や、創業者の本田宗一郎氏が現場・現物・現実を重視したことに由来するホンダの「三現主義」などが好例だ。
しかしそれはトップダウンではなく、ある程度、現場に裁量を与えることを意味する。製造ラインに携わる担当者の判断で創意工夫を進めたことが無資格検査につながったとすれば、“現場力”があだになったといえるのかもしれない。
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日産の次に無資格検査が発覚したのは「スバリスト」と言われる熱烈なファンを抱えるSUBARU(スバル)だ。同社では無資格者が検査に携わることを促すような内容の社内規定があった。
大崎篤・品質保証本部長は「30年ずっとこの仕組みでやってきたので、現場は違和感を覚えなかっただろう」と説明する。日産と異なり、原因は社内制度にあったとの見方だ。
