米国のハリケーンで大きな打撃を受けた損保大手グループ各社だが、足元では新たな懸念も浮上している。日産やＳＵＢＡＲＵ（スバル）の無資格検査問題が思わぬ形で飛び火しかねないからだ。

　「販売停止の長期化や客離れが加速すれば影響が出る可能性はある」

　ある大手損保の担当者はそう懸念する。日本では保険を販売する代理店を自動車メーカーのディーラーが兼務していることが多く、新車購入と同時に自動車保険に加入することが多い。そのため、新車販売の落ち込みは保険の売り上げに直結する深刻な問題なのだ。ＳＯＭＰＯＨＤの辻伸治副社長は１７日の会見で「（売り上げの）減少は当然出るが、消費者への被害は出ておらず、社会が許せば落ち込んだ分は取り返せる」と述べ、下半期の見通しにも影響は見込んでいないという。

　リコール（回収・無償修理）に伴う費用の行方も気がかりだ。リコールに備え、自動車メーカーや部品メーカーなどはリコール保険に加入している。リコールに伴う費用は両社で計４５０億円ともいわれ、保険金の支払いが発生した場合、保険会社の経営にも打撃となるからだ。ただ、今回のケースは無資格の従業員に新車の完成検査を実施させていたという不正行為が発端になっている。リコールも物理的な不具合ではなく再検査のためで、ＭＳ＆ＡＤＨＤの柳川南平専務は「明言はできないが（保険金の支払いは）難しいのではないか」と話している。