【木下隆之のクルマ三昧】自動車事故はゼロにならない!? 運転支援技術の“落とし穴”
更新「駐車場に停める時も、後ろの安全、確認しなかったみたいだし」
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「壁が近づくと、ブザーが鳴るよ」
後方の障害物もセンサーしてくれる。それの機能を過信しているのだ
すべての障害物を読み取ってくれるとも限らないし、完璧に衝突回避してくれるわけでもない。だが彼は機能を過信しているのだ。
レクサス担当者の興味深い理論
車のぶつからない技術が進化すればするほど、ドライバーの運転レベルが下がるのではないかと心配するのである。
というような心配事を、レクサスLS500の運転支援を統括する担当者に聞くと、興味深い理論を紹介してくれた。
それは「リスクホメオスタシス理論」という。簡単に言えばこうだ。「人は安全になった分だけ、それを期待して怠惰な行動をとる。よって、危険の確率はある範囲より下がらない」というのだ。
「事故がなくならない理由」の著者である芳賀繁氏の言葉を引用すると「防波堤ができたために、津波警報を聞いても避難しなくなる」や、「スキッド運転を訓練させると、雪道を平気で飛ばしはじめる」といった現象が、運転にもあるという。
たしかに実家の義母は、コンロの消し忘れを防ぐ機能をつけてから、鍋の吹きこぼしが多くなったような気がするし、セコムと契約してから戸締りが甘くなったような気がする。
僕の知人や義母がその好例だ。絶対にぶつからないと誤解し、よそ見運転をする。ブザーがなったら止まればいいと誤解する。まさにリスクホメオスタシス理論が真実なのだと実感するのだ。


