高論卓説
ウェブメディアPVに新ガイドライン
しかし、この取り組みは雑誌系以外のウェブメディアにも影響を与えるに違いない。広告主の視点からみれば、横並びで比較できない透明性を欠いた指標など意味をなさない。テレビにおける「視聴率」、(紙の)新聞・雑誌における「発行部数」はそれぞれ課題があるにしても、横並びで比較できる指標。ウェブメディアは巨大化しているにもかかわらず、横並びで比較できる指標がないのだから異常事態である。早急にウェブメディア共通の指標づくりも必要だ。PVだけでなく、滞在時間、ID会員数、有料会員数などについても、開示ガイドラインを設けていく必要があるだろう。
指標の開示に関して、雑誌業界が先行しているのには、理由がある。背景にあるのは雑誌販売の激しい落ち込みだ。ガイドラインの改定を取りまとめた講談社の長崎亘宏ライツ・メディアビジネス局次長は「3.1%」という数字を示すことで危機感を表現する。
電通が2月22日に発表した「日本の広告費(2017)」によれば、雑誌広告費は2023億円で日本の総広告費のわずか3.1%。メディア環境研究所発表の「メディア定点」によれば、雑誌との接触時間も1日当たりのメディア接触時間においてもわずか3.1%なのだ。