【高論卓説】台湾で相次ぐ「日本製」のトラブル 信頼にひび、重要拠点失う恐れも
更新台湾での報道によると、日本車両製造は当初、納入した車両のチェックの義務は台湾側にあり、修理などは対応しないと表明したとされる。台湾鉄道側が「訴訟を辞さない」と態度を硬化させると、日本車両製造は折れたようで、ATPに問題がある全車両の修理に応じると態度を改めた。台湾鉄道側も、納入時に点検を怠った瑕疵(かし)があり、恐らくはこのあたりを落とし所として、事態は収束していくに違いない。
ただ、心配されるのは、この事故を通して台湾社会に「日本製」への不安が広がることである。たまたま、列車事故直前には日本のメーカーによるデータ改竄(かいざん)が明らかになったビルの免震装置が台湾に輸出されていたことが話題になったばかり。
今や海外にいけば韓国のサムスン電子や中国のハイアール、携帯大手のOPPO(オッポ)の広告ばかりが目につく。ただ、台湾ではテレビCMで日本製クーラーなど家電や自動車、化粧品が多く放送され、日本勢の頑張りがまだまだ感じられる。製造業が危機に瀕(ひん)しているとされる日本メーカーへの信頼が、なお厚いところだけに、鉄道車両という人命に関わる重要な輸出品にクリティカル(危機的)な製造ミスが起きたことは残念なことであり、その後の対応も含めて、日本車両製造には全日本製品への影響が起きかねない事態であることをしっかりと受け止めてもらいたい。
タイミングが悪いことに、今月24日に投開票される台湾統一地方選では、福島県など原発事故周辺5県の食品について、台湾が輸出規制を解禁すべきかどうかを問う住民投票が行われる。これもまた「日本製」の話であり、「不良品や二級品を台湾に売りつけている」というイメージが投票への悪影響を与えないか、心配する声も上がっている。
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【プロフィル】野嶋剛
のじま・つよし ジャーナリスト。朝日新聞で中華圏・アジア報道に長年従事し、シンガポール支局長、台北支局長、中文網編集長などを務め、2016年からフリーに。『ふたつの故宮博物院』『銀輪の巨人 GIANT』『台湾とは何か』など著書多数。最新刊に『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』。
