試乗スケッチ

デジタル社会を象徴する“バーチャルスーパーカー” BMWi8ロードスター

木下隆之
木下隆之

 たとえば、15秒で開閉するキャンバストップのルーフを開け放った時にさえトランクスペースを犠牲にしないのは、コンパクトなエンジンだからこそ得られたメリットなのかと歓迎したくなる。

 安易に否定できない

 そもそもギミックのサウンドも、いまではポピュラーな技法でもある。遮音材で包み込んだコクピットを音楽室に見立て、心地よいサウンドが響き渡るように音響技術を駆使する手法は珍しくはない。進軍ラッパのような馬のいななきや猛牛の遠吠えや、あるいは天使の咆哮はそうやって演出されている。そう考えると、i8の調律手法はあながち異端ではないように思える。ボーカロイドにさえ人は感動するのだから、安易に否定する気にはなれないのだ。

 BMWi8ロードスターは、「バーチャルスーパーカー」なのかもしれないとは思う。だが現実にそれは存在しているわけで、手を伸ばせばそこにある。むしろ、最先端技術を駆使した、極めて先を行くスーパーカーなのかもしれないのだ。

 【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちらから。

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木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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