試乗スケッチ
デジタル社会を象徴する“バーチャルスーパーカー” BMWi8ロードスター
木下隆之
たとえば、15秒で開閉するキャンバストップのルーフを開け放った時にさえトランクスペースを犠牲にしないのは、コンパクトなエンジンだからこそ得られたメリットなのかと歓迎したくなる。
安易に否定できない
そもそもギミックのサウンドも、いまではポピュラーな技法でもある。遮音材で包み込んだコクピットを音楽室に見立て、心地よいサウンドが響き渡るように音響技術を駆使する手法は珍しくはない。進軍ラッパのような馬のいななきや猛牛の遠吠えや、あるいは天使の咆哮はそうやって演出されている。そう考えると、i8の調律手法はあながち異端ではないように思える。ボーカロイドにさえ人は感動するのだから、安易に否定する気にはなれないのだ。
BMWi8ロードスターは、「バーチャルスーパーカー」なのかもしれないとは思う。だが現実にそれは存在しているわけで、手を伸ばせばそこにある。むしろ、最先端技術を駆使した、極めて先を行くスーパーカーなのかもしれないのだ。
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【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちらから。
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