都市と秩父の自然に溶け込むデザインに 西武鉄道新型特急「ラビュー」
車内空間も苦心があった。メンバーの計画管理部管理課の大山早紀さんは「外の光や景色が入り込んでくるので、車内にいながら、あたかも森の中を、走っている感覚になっている」と、足元近くまで大きく空いた窓の効果をアピールする。しかし、窓を大きくするということはアルミボディーに大きな穴を開けることになり、ボディーの強度を弱めることにつながる。そこで、重ねるアルミ層を増やすことで、安全性を確保した。
車内空間にも苦心
客室は外の光を多く取り入れたことで明るく、そこに暖かな黄色を基調にした座席シートが並ぶ。鉄道用としてはこれまでにない、体を優しく包み込むようなソファを意識した。
ただ、プロジェクトチームでは、シートは複数の色を採用しようかということも話し合われた。だが、その後のメンテナンスなどを考慮して、その案はボツになったという。
こういった形で、車体、車内が決まっていった。メンバーの西武ホールディングス経理部の饗庭淳矩(あいば・あつのり)主任は「メンバーの中で、西武鉄道のイメージを体現するものができたと認識は一致した」と語る。西武線は都市と観光地の両方を走るもので「現実と非現実の両方を兼ね備えるものでなくてはならないし、その中では、快適性を重視する必要がある」からで、その思いを詰めた車両が完成に近づいた。
最後に残った課題は、ネーミングだった。既存のレッドアローは、秩父駅近辺では特急列車に乗ることを「レッドに乗る」と表現するほどのブランド。饗庭主任によれば、「50年の歴史を持つレッドアローのブランドをゼロにはしたくないという社内の意見が多かった」という。それでもラグジュアリーなリビングの「L」、アローの「a」、そして大きな窓からのビューの「view」を組み合わせた「ラビュー」のネーミングは、読みやすさもあって沿線の利用者からも好評で、メンバーとしても安堵(あんど)した。
西武鉄道では、ラビューは運行開始段階では西武池袋線だけの運用計画だった。しかし、具体的な決定はないが、西武新宿線での利用の観測が出始めるなど、同社のフラッグシップ列車として存在感を高めようとしている。(平尾孝)