だが、低回転トルクの細さや、それを補おうとしたが余り低回転レスポンスの物足りなさはなくはない。小排気量ターボの哀しさは完璧には取り除かれてはいなかった。
絶対的なトルクに不足はないが、フル乗車でのストップ&ゴーでは、ストレスが募りそうである。ダウンサイジングのデメリットを補おうとした痕跡は認めるが、まだ充分ではなかったということ。
音や振動にも雑味がある。室内の質感はとても高いのに、走り出すとちょっとガッカリ…なところがなくはなかった。メルセデスの高級車は圧倒的に優れていながら、コンパクトモデルになると廉価版的な質感になるのは相変わらず残念に思えた。
ともあれ、スポーティーな印象が高まり、プレミアム度が増したことは朗報だ。アーバンライフを心地よく演出する良きパートナーとしての資質が高まったことは確かだろう。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。