論風

オープン&クローズ時代の終焉 “ジオテク”軸に戦略見直しを

 米国の規制で潮目が変化

 しかし今、そのような技術に新たな規制が課されようとしている。2018年に成立した米国の国防権限法によって、人工知能(AI)技術、量子コンピューター、ドローンや先端機能材料など幅広い新興技術が新たな規制対象とされた。現在米国政府において具体的な規制内容が検討されているが、すでに通信機器に関しては一歩先んじて規制が発動されている。

 具体的には、国防権限法によって、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する取引禁止が発動されたことから、同社の海外向けスマートフォン機種はグーグルの無償公開の基本ソフト(OS)以外のソフトが使えなくなる。

 今後は通信だけでなく、新興技術に関する規制が行われることで、幅広い技術領域で「世界中の技術に自由にアクセスできる環境」は、終わりを迎えることになるだろう。

 ワシントンで米中関係をテーマとした米国のセミナーでは「デカップリング」という言葉が盛んに使われるようになった。「切り離し」という意味である。まさに、技術においてもデカップリングが余儀なくされつつあるのだ。このことはグローバル企業の技術戦略に大きな影響を与える。少なくとも欧米企業が得意とした新興国を巻き込んだオープン&クローズ戦略は難しくなることは明らかである。

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