論風

オープン&クローズ時代の終焉 “ジオテク”軸に戦略見直しを

 企業の命運を左右

 では代わりにどのような施策が有効になるのだろうか。オープン&クローズ戦略は新技術の市場形成においては極めて有効な方法であった。今後も、すべての技術がアクセスできなくなるわけではないし、新興技術を用いた製品やサービスも、多くは世界に供給可能であると予想されることからオープン領域に位置すべき技術を慎重に選ぶことで、戦略策定が可能になる。ややこしいことかもしれないが、地政学的な観点を入れた技術戦略(ジオテクノロジー戦略)と、オープン&クローズの要素が組み合わされた戦略が、今後台頭することが予想されるのである。

 ここ数年で技術を取り巻く国際的な経営環境は間違いなく劇的に変化する。それによって生まれる新たな環境に、いかにして適合していけるのかが企業の命運を決める。日本企業は世界で起きているこれらの「地政学的激変による技術戦略への避けがたい影響」という現実を直視し、早急に自社の技術戦略を見直していく必要がある。

【プロフィル】渡部俊也

 わたなべ・としや 1992年東工大博士課程修了(工学博士)。民間企業を経て96年東京大学先端科学技術研究センター客員教授、99年同教授、2012年12月から現職。工学系研究科技術経営戦略学専攻教授兼担。59歳。東京都出身。

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