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「焼肉ポリス」が客にダメ出し!? 安楽亭と牛角を脅かす焼肉きんぐの戦略

 物語コーポレーションの創業は1949年。愛知県豊橋市におでん屋「酒房源氏」を出店したことに始まる。95年に豊橋市にオープンした「焼肉一番かるび」によって焼き肉業態に進出。当時、郊外で広い駐車場を持つファミリー向けの大衆焼き肉店は、大変珍しかった。この頃はファミリー焼き肉の草創期にあたる。ちなみに「牛角」の創業は96年だった。

 当初は他に競合もなかったので、焼肉一番かるびは家族や大人数の利用で繁盛していたが、だんだんと類似店が増えて差別化しきれなくなってきた。

 そこで考え付いたのが、オーダーバイキング形式だった。それまでは、肉が陳列されている場所に、顧客がお皿を持って取りに行き、席で焼いて食べるセルフ方式の焼き肉食べ放題は存在していた。一方、焼肉きんぐでは、席に座って店員に肉や料理を持ってきてもらう方式を採用。より鮮度の高い肉が提供可能で、サービスを重視したスタイルをアピールした。

 しかし、実際にオープンしてみると、客席で注文するブザーが押されまくって、ピンポンの音が店内にあふれるようになってしまった。店員は多忙を極め、オペレーションがうまく回らない事態に陥った。

 そこで、タッチパネルを導入すると混乱は収拾した。オープンした翌年、08年のことだった。他にもオーダーバイキング形式の焼き肉店はあったが、タッチパネルを活用する洗練されたシステムによって、焼肉きんぐは差別化を実現して成長を続けた。

 さらなる成長のためメニューを一新

 マイナーチェンジを繰り返してきた焼肉きんぐのメニューが一新されたのは17年1月。この頃、業績に陰りが見え、さらなる成長のためにテコ入れが必要と判断された。

 ここで確立されたのが、焼肉きんぐに来店した顧客の大半が注文するという肉厚の4大名物である。それまでも肉厚メニューとして提供して好評を博していた商品があった。ステーキを食べているようなごちそう感があるのが特徴だ。

 その4大名物とは「きんぐカルビ」「ダイヤモンド上カルビ」「ドラゴンハラミ一本焼」「鬼厚ガリバタ上ロース」である。

 きんぐカルビとダイヤモンド上カルビは、同じカルビだが食感が異なる。きんぐカルビのほうが、脂身が多くてやわらかいように感じられる。ドラゴンハラミ一本焼はピリ辛ダレに漬けられており、つぼに入って提供される。ハサミで一口サイズに切って食べるスタイルだ。鬼厚ガリバタ上ロースは、ガーリックバターじょうゆの風味が肉のうまみを引き出す。

 これら4大名物を食べるだけでお得感があり、お腹もかなり満たされる。普通の胃袋の持ち主なら、食べ放題といえどもそんなには食べられるものではない。

 「食べ放題というのは集合体の価値なので、品数の豊富さにはこだわっています。品数にこそ、バリューがあると考えています」(前出の山口氏)

 食べ放題コースは3つあり、58品コースが2680円(税抜、以下同)、きんぐコースが2980円、プレミアムコースが3980円となっている。時間は各100分。

 4大名物が注文できるのは、きんぐコース以上。プレミアムコースでは、国産牛や厚切り熟成牛タンも楽しめる。

 ランチ限定の1980円で食べ放題ができるコースもあり、ソフトドリンクも飲み放題である。こちらは高校生や大学生にも人気があり、授業や部活の帰りに立ち寄るケースが多い。なお、午後3時までは、全てのコースでソフトドリンクが飲み放題となる。毎日ランチ営業を行っているのは18店。その他の210店は土曜・日曜・祝日のみである。

 きんぐコースが圧倒的な人気を誇っており、顧客の65%が注文する。58品コース、プレミアムコース、ランチのコースは各10%ほど。残りの数%は単品で注文している。

 4大名物以外にも、卵をといて食べるすき焼き風焼き肉、ネギ塩きんぐタン、ホルモン、豚肉、鶏肉、黒(黒胡椒)・赤(旨辛)・黄(チーズ)の焼き肉、サンチュ、各種サラダ、キムチ、ナムル盛合せ、エビ焼きなどの海鮮、焼き野菜、スープ、たこ焼きなどのサイドメニュー、ショコラケーキをはじめとするデザートなど、バリエーションは幅広い。

 人気メニューの中には、口の中がさっぱりするそうめん、焼き肉を乗せて食べるように開発された専用のバウンドごはん、期間限定で提供されている3種類のタピオカなどもある。従来の焼き肉店の発想を超えたメニュー開発力で、顧客を引き付けている。

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