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「焼肉ポリス」が客にダメ出し!? 安楽亭と牛角を脅かす焼肉きんぐの戦略

 焼肉ポリスが接客

 焼肉きんぐではサービス向上の一環として、ホールスタッフが「焼肉ポリス」となって店内を巡回し、顧客がおしゃべりに夢中になって肉を焼き過ぎていないかどうか、席を見回るサービスを始めている。

 焼肉ポリスは、肉の片面が焼けていたら裏返したり、トングの持ち方がおかしかったら直したりといったように、さまざまなおせっかいを焼く。そうすることで顧客とのコミュニケーションをとるだけでなく、セルフで最終調理する焼き肉の味のブレを修正する役割を果たす。せっかくお金を払って焼き肉を食べに来たからには、最高の焼き加減で食べてほしいのが、お店の願いだ。

 肉厚の4大名物などは、通常の焼き肉で提供されるような薄い肉と異なるので、焼き方に戸惑う人もいる。そこで、焼肉ポリスが席まで運んだあとそのまま焼いてあげるケースもある。

 ネギ塩タンも焼き方に工夫が要るメニューだ。まず肉を裏返して、スパイスがかかっている上面を焼く。肉汁が出てきたらひっくり返してもう片面も焼き、箸でネギ塩をひとつまみ乗せる。さらに、箸で包み込むように肉をつまんで、レモンダレに付けて食べる。

 このように、焼肉ポリスが1つ1つのメニューについて解説しながら焼いてくれるので、焼肉きんぐに来れば顧客のうんちくが増える。家族で焼肉きんぐに来て教わった焼き方を、接待の時に披露してたいへん喜ばれたケースもあるそうだ。

 焼肉ポリスには資格もマニュアルもなく、ホール係が順番に担当する。店員にとっては接客の創意工夫が試せる場でもある。

 物語コーポレーションでは、全国のパート・アルバイトを対象として、接客やおせっかいの質を審査する「おせっかいパートナーズコンテスト」を毎年夏に開催している。「おせっかい」は同社のコンセプトでもあるのだ。

 ライバルの動向は?

 郊外のファミリー焼き肉店は、焼肉きんぐをはじめとしてテーブルバイキングが主流となってきた。関西と福岡を基盤とするワンカルビは、50代以上のシニア・シルバー客を割引の対象にしている。しかも、60代、70歳以上と高齢になるほど割引率が高くなる独特な価格体系が魅力となっており、3世代を集客した結果、83店まで増えた(19年10月25日現在)。

 また、国産牛を打ち出す「肉匠坂井」は、全国に100店を展開する焼き肉チェーンの焼肉さかいを母体にしている。そのため、2014年に出店してから41店まであっという間に増えた。

 そして、テーブルバイキングに攻め込まれて、20年3月期第1四半期の決算で売り上げが6.1%減少した安楽亭でも、ついに自ら手掛けるようになった。9月5日、東京都足立区にオープンした「えんらく」(環七梅島店)だ。1品の量を少なくできる「ハーフモード」や「無添加」にこだわるという。回転寿司で例えると「くら寿司」の焼き肉食べ放題版のような業態である。

 安楽亭はえんらくの展開でどう巻き返すのか。そして、焼き肉業界最大手「牛角」にどのような影響をもたらすのか。これからの焼き肉テーブルバイキングの動向から目が離せない。(ITmedia)

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