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テスラや日産、EV蓄電・放電で効率利用 再エネ拡大や災害対応に貢献

 台風停電時に50台派遣

 一方、日産自動車のEV「リーフ」は、変換器と接続することで、家庭の電気をEVにためたり、EVから家庭内の電子機器に給電することができる。これにより、夜間の安い電気を蓄電したり、太陽光発電した電気を売電せずに消費したりすることも可能だ。

 オフィスビルなどの電気の基本料金は、過去1年間に必要とした電気の大きさの最大値で決まるため、EVからの放電によって、年間の基本料金を下げることもできる。日産はNTT西日本との協業で、EVによって夏場のピーク時の電力消費量を7.5%削減する効果を確認したという。

 9月に発生した台風15号が、千葉県を中心に大規模な範囲で停電を引き起こした際、日産は、“走る蓄電池”として50台以上のEVを派遣。避難所などでの非常用電源として活躍した。同社は、これまでも11の地方自治体と災害時に連携する協定を締結しているが、「台風15号以降も、非常に多くの自治体からお声かけいただき、話し合いを進めている」(関係者)という。

 EVの普及が進むと車載用電池の2次利用も課題となる。EVで使用されたリチウムイオン電池は、車の使用状況により再利用できる容量を維持している。EVの環境価値を高めるためには、中古バッテリーを蓄電池などに加工し直すことで、そのまま廃棄することもなく、新たな電池の作成も抑制することが必要だ。

 日産は、今後電池の2次利用の市場が拡大すると見込む。今年9月には、住友商事と共同出資するフォーアールエナジー(横浜市)がリーフの中古バッテリーを活用した蓄電池を神奈川県内のセブン-イレブン10店舗に設置する実証実験を開始した。

 EVは、再エネの拡大や化石燃料削減、製品リサイクルなどの面でも、社会における環境負荷低減の可能性を秘めている。(出口賢太郎)

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