鉄道業界インサイド

“超複雑”渋谷駅が銀座線移設でこう変わる 乗り換え改善へ年末年始に大工事

枝久保達也
枝久保達也

 乗り換え時間を大幅短縮

 JRとの乗り換えも大きく変わる。銀座線は現在、ホームと改札が乗車用・降車用で分かれているが、ホーム移設によりひとつに統合される。現在、JR中央改札から銀座線に乗り換えるには、いったん階段を降りて玉川改札の前を通り、再び階段を上る必要がある。しかし今後はJR中央改札右手にある通路を進めば銀座線新ホームにたどり着く。同じルートで乗車と降車ができるというのも分かりやすくなるポイントだろう。

 続いて2020年春、埼京線・湘南新宿ライン・成田エクスプレスなどが発着するホームが北に350m移設される。現在は山手線ホームと埼京線ホームは互い違いの関係で配置されており、乗り換えが非常に不便だが、両路線のホームが横並びになり、乗り換え時間が大幅に短縮される。

 埼京線ホームの移設も、再開発事業によって実現した。埼京線ホームは山手線の横に土地の余裕がなかったため、南に大きくずれて設置された経緯があるが、埼京線の線路脇まで迫っていた東急百貨店東横店東館と東横線旧ホームを撤去したことで、ようやくホームを設置するスペースを確保できたのだ。

 JRから銀座線の乗り換えは前述の通りだが、東急線東横線・地下鉄副都心線、東急田園都市線・地下鉄半蔵門線への乗り換えも、中央改札から渋谷スクランブルスクエア方面に進み、同ビル内のアーバンコアを経由するのが一番分かりやすいだろう。渋谷駅に慣れていない人は今後、JR中央改札を基準に乗り換えすることをおススメしたい。

 とはいえ2013年に始まった工事はようやく中間地点に差し掛かるところ。今後、東急百貨店東横店西館・南館の解体、渋谷スクランブルスクエア第2期工事、山手線ホームの拡幅などが予定されており、全体の完了は2027年の見込みだ。その頃には地下、地上、連絡通路と複数の動線が整備される予定だが、それまでは通路の変更が何度も行われることになりそうだ。

枝久保達也(えだくぼ・たつや)
枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。

【鉄道業界インサイド】は鉄道ライターの枝久保達也さんが鉄道業界の歩みや最新ニュース、問題点や将来の展望をビジネス視点から解説するコラムです。更新は原則第4木曜日。アーカイブはこちら

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