地球温暖化、イースター島の悲劇を繰り返すな 大学教授が鳴らす警鐘
--著書「文明崩壊」で、環境破壊によるイースター島社会の崩壊を説明しています。現代人が学べることはありますか
「イースター島で起きたことは、過剰な資源収奪がもたらす最悪のシナリオです。この島は太平洋で孤立し、森林伐採など自然を破壊したときに助けを求める社会が他になかった。宇宙では地球も孤立しています。だからイースター島は世界の縮小モデルなのです。人間は自身が依存している資源を破壊してはいけないのです」
--モアイ像の建立を競う島の氏族が資源利用で協力しなかったのですね
「今日でいえば、たとえば水産資源です。日本は自国で得るほか、需要の半分あるいは3分の2を輸入している。EU加盟国の政府は漁船に補助金を出し巨大な漁船団を維持しています。どの国もできるだけ多く取ることばかり考えている。イースター島のシナリオを避けるためには漁業資源の管理について合意し、分け合うことが大事です」
江戸幕府の森林管理
--一方、著書「危機と人類」では資源管理の好例として、江戸時代の日本の森林管理を挙げています
「そうですね。新幹線に乗ると、車窓から見える山々がすべて木に覆われているのが印象的です。多くの国々ではこんなにうまく森林は管理されていません。科学的な森林管理は世界の2カ所、ドイツやスイスと日本で発展しました。江戸時代の詳細な管理マニュアルはとても興味深い。木々の直径を測って番号をつけ、どの木を伐採すれば持続的にできるかを考えていました。それは今日の日本における森林管理のモデルにもなっているのです」
--なぜそれほど多大な手間をかけたのですか
「江戸時代は城郭含め木造建築に大量の木材が必要でした。しかも鎖国政策のため、自国で完結する必要もあった。木材を十分確保するには正確な森林管理が必要だと気づいたのです。イースター島と違い日本には中心となる強力なリーダーがいました。自然保護はボトムアップの手法もあるが、これは強い政府によるトップダウンの好例です」
--ニューギニアにある石油企業シェブロンの油田を訪れ、予想に反し厳格な環境対策に驚いていますね
「ええ。環境保護にとても熱心な企業でした。環境を保護することが今は、営利企業の金もうけを助けているのです。ひとたび原油流出事故を起こせばとてつもないお金がかり、環境を汚すような企業は会社としても魅力がありません。ノルウェーが北海油田の入札でシェブロンを選んだのは、環境を守る企業との評判も関係しているでしょう」