寄り添うメガネ提案に活路 技術・接客力磨き格安チェーン対抗
プロの視機能を支援
「息子がゴルフのプロテストに受かったと、わざわざ父親から連絡が入った」
受話器越しに弾んだ声を聞いたパーソナル・グラス・アイックス(福岡県飯塚市)の小松知史社長は喜んだ。レッスンプロになるのが夢だった男性は受験の2週間前に来店。作ったメガネで芝目の読み方が変わりパットが正確に決まったという。
悩んでいたパッティングを解消できたのは、ドイツの光学医療機器・レンズメーカー、カールツァイス製の両眼視検査機のおかげ。左右の目の方向のずれ(斜位)を検査することで距離感や立体感などを修正できる。
同社は地元の福岡と東京・銀座の2店舗を運営するが、両眼視検査機とこれを使いこなせる視能訓練士(国家資格)を目当てに全国から視機能に悩む人が訪れる。顧客は弱視や発達障害に悩む子供からプロアスリートまでさまざまだ。
視能訓練士でもある宮田ちひろ取締役は「両目でどう見えるかが大切なのに検眼は通常片目ずつ。この結果を基にメガネを作っても合うわけではないので頭痛や肩凝り、吐き気を起こし姿勢も悪くなる」と指摘する。
こうした不具合を解消し一日中快適にメガネをかけた生活をしてもらうため、完全予約制で約2時間かけて来店客の視覚ニーズにぴったりのメガネを作る。「時間を聞いてびっくりするが、『こんなに見てくれて』と満足して帰る」(宮田氏)。メガネは「給料の1カ月分(平均15万~20万円)と高価だが、納得して購入する」という。
東京・銀座店に張ってある日本地図には約100本のピンが北海道から沖縄まで刺さっている。ピンは顧客がどこから来たかを示す。宮田氏は「銀座の店とはいえブランドメガネ、オシャレメガネをそろえているわけではない。見えると身体の調子も良くなる。目の悩みを解決するために来てほしい」と話す。(松岡健夫)