高論卓説

さらなるレジ袋削減に向けて マイバッグ普及促進と値上げの両輪

 今月1日からスーパーマーケットなどのレジ袋が有料化された。これはこれで悪くない施策だと思う。反対する理由は何もない。ただ、プラスチックごみの量を削減して地球環境を改善するという大きな視点で見れば、レジ袋をいくら削減しても地球環境に大きな影響は与えないのではとも思う。

 日本では年間1人300枚、つまり全部で300億枚のレジ袋が消費される。だが、有料化してもわずか30億枚しか減らないとの予測である。30億枚、つまり10%しか減らないのではあまりにも寂しい。もっと大きく削減するアイデアはないのか。

 国はマイバッグを持ち歩くように呼び掛けているが、普及は遅々として進まない。

 一方、最近海外では店のロゴ入りのマイバッグが人気だそうだ。エルメスやルイ・ヴィトンなどの高級ブランドバッグではない、食料品店の店名入り布袋である。

 特にニューヨークの高級スーパーZabar’sやロサンゼルスの人気食料品店Trader Joe‘sなどのロゴが入った布袋が人気で、この袋を抱えて歩くのがクールだという。バッグの価格はだいたい25ドル前後だ。

 なぜ無料のレジ袋を使わずにあえて有料のしかも「店名入りの」買い物袋を選ぶのだろうか。高級デパートの紙袋を下げて銀座を歩くあの優越感なのか。いや、それだけではない。この布袋は「高級店の顧客」認証と同時に「私は環境保護派です」とのメッセージも発信する。これが大きな理由だ。

 国内でも最近高級スーパー紀ノ国屋などのバッグを見かけるようになった。店名が入っていてもいなくても、マイバッグを持つことは環境保護派の証であり、かっこいいのだというトレンドが定着しつつある。動機は環境派でも、優越感でも、かっこいいでも何でも良い、レジ袋の数を減らすことができれば目的は達成できる。

 日本は国民1人当たり年間106キロのプラスチックを消費し、183本のペットボトル飲料を飲むプラスチック大国である。外国人観光客が来日して驚くことの一つが、食品に対する過剰包装だ。スーパーでは肉、魚、野菜、果物、あらゆる物がプラスチックで何重にも包装されている。それが全てごみと化して家庭から放出される。あらゆるものを過剰に包装する日本人の性癖についてはわれわれ一人一人が真剣に考え直す必要がある。

 政府は2030年までに年間1000万トン近い現在のプラスチックごみの量を25%削減する計画だ。しかし、25%は250万トン、つまり10トントラック25万台分の量のプラスチックを削減するにはレジ袋削減作戦は無意味である。プラスチックは「使い捨て」と「過剰包装は丁寧さの証」というわれわれの間違った意識を変えなければ250万トンのごみを減らすことはできない。

 さて、レジ袋の削減にはマイバッグを普及させることも大切な手段だが、値上げするという考え方もある。今回のレジ袋有料化で期待できる削減効果がたった10%で、残りの270億枚は変わらずごみになるなら、その270億枚を値上げして環境問題解決のための基金を設立してはどうだろうか。原価に10円上乗せできれば2700億円の基金を確保できる。

 レジ袋がさらに値上げされれば、さすがにマイバッグを使う人も増えるだろう。いや、増えなくてもいい、相変わらずレジ袋が減らないようならその分環境保護基金が増え、また違った角度からプラスチックごみ問題解決に貢献することになるからだ。

【プロフィル】平松庚三

 ひらまつ・こうぞう 実業家。アメリカン大学卒。ソニーを経て、アメリカン・エキスプレス副社長、AOLジャパン社長、弥生社長、ライブドア社長などを歴任。2008年から小僧com社長。他にも各種企業の社外取締役など。北海道出身。

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