高論卓説

放っておいたら進む景気後退 経済回すためには検査拡充も必要

 コロナ禍で海外への渡航がほぼ不可能になり、ビジネスにおいても、留学においても、その影響が長期化している。海外渡航をすると帰国後PCR検査で陰性であっても、2週間の自主隔離が大きなハードルとなっている。渡航先での検疫は、さまざまであるが、PCR検査の陰性証明か一定期間の自主隔離のどちらかである国も多い。(細川珠生)

 米国の高校に在学する息子も、再渡米のめどが立たず、学業の継続を心配したが、9月からの再開に向け、何とか渡米し、2週間の自主隔離を経て、現在はバーモント州でのサマースクールに参加している。感染者の数が世界最多の米国でサマースクールに参加するなど、日本ではとても想像できないことであろう。米国もさまざまであり、感染者数の違いは、地域性によるところも多いと考える。

 比較的少ないといわれている東北部、いわゆるニューイングランド地区の中でも、ボストンがあるマサチューセッツ州は、一時期、全米で4番目に感染者が多い州であった。それでも、今は、着実に減少し、人口700万人弱で、日々の新規感染者は200人前後。経済再開はまだフェーズ3にあり、最終段階であるフェーズ4に移行する時期は未定という。

 レストランは屋内での飲食も可能になっているが、テークアウトかテラス席の利用が一般的。もともとこの時期は夏季休暇を取るということもあり、オフィスも基本的にはリモートワークでほとんどのところで人がいないという。不要不急の外出を控える傾向はまだ続いており、ショッピングモールなど閑古鳥が鳴いている状態だ。

 だからこそ、新規感染者の数を減少させているともいえるが、当然のことながら、経済は大きな打撃を受けている。7月半ばの失業率は17%を超え、店じまいをした店舗も街中でよく見かけるし、ホームレスの姿も以前より見かけるようになった。

 米国全体でもGDP(国内総生産)はマイナス32.9%(年率)という、驚愕(きょうがく)の結果が出ている。マサチューセッツ州は特に教育が重要な産業であるが、秋セメスターをオンラインのみで行うことを決めた大学が多いため、関連する業種(大学内の店舗や不動産、施設維持のための業種など)は、引き続き休業を余儀なくされ、「みなし解雇」も含め、失業者は増える一方である。週600ドル(約6万3000円)の失業保険加算分も一見手厚いようだが、この中から家のローンや医療の保険料などを負担する必要があれば、十分であるかは、人それぞれだ。それでも、これを200ドルまで減額するか現状維持か議会でも結論は出ていない(8月3日現在)。

 日本は、今頃になって景気の山は2018年10月であったという認定を行った。景気後退局面で消費税増税をし、その後、新型コロナウイルスによる影響が重なった。景気後退は、放っておいたら、どんどん進む。経済と感染拡大防止の両立は、世界のどの国でも手探りの状態ではあるが、日本の場合、他国と比べればこれでも感染者は少ない。だからこそ、無症状でも検査を受けられる体制を作り、感染してない人は、しっかりと社会活動を行うことで、経済を回すことができるはずである。

 感染拡大防止は重要であるが、萎縮しすぎるばかりでは、景気の後退局面を抜け出せない。「Go to」事業からも分かるように、経済を回すためにどうしなければいけないのか、現政権には施策も実行力もないと、思わざるを得ない。

【プロフィル】細川珠生

 ほそかわ・たまお ジャーナリスト。聖心女子大卒。三井住友建設社外取締役。星槎大学非常勤講師。京都・かめおか観光PR大使。元東京都品川区教育委員会教育委員長。1児の母。父親は政治評論家の故細川隆一郎氏。

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