価値共創

ベンチャーキャピタル老舗・ジャフコ “黒子”として「リソース提供に全力」

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 80年代に海外へも進出

――金融系、商社系、大学系とさまざまなVCがありますが、ジャフコの特徴は

北澤氏:

 VCは独立系か金融系か、それ以外かに大別されます。ファンドの特定のオーナーがいる会社では、最も影響力を持っている出資者、株主がいますが、ジャフコは独立系で、特定のオーナーのいる会社ではありません。

 特定の目的を持ったオーナーがいるVCであれば当然、そのオーナーの目的の影響を受けます。ジャフコは独立系のVCとして、ピュアな成長資金を出資しているといえます。純粋に投資のリターンを求めていくためには独立性が必要です。

――VCというと、スタートアップ期の支援というイメージがありますが、シュレッダー最大手の明光商会が2007年、ジャフコのファンドの支援を受けて経営陣と従業員で自社を買収するということもありました

松本氏:

 明光商会については、バイアウト投資という位置づけでした。ジャフコでは1998年に、マジョリティ(議決権の過半数)を保有するバイアウト投資を始めました。今では金額にして国内投資の約3分の1がバイアウト投資になっています。ベンチャー投資の主体がシード・アーリーステージのスタートアップ企業となる中で、キャッシュフローが安定しているバイアウト投資は、ファンド全体のポートフォリオのリスクを分散させる役割を果たしています。

北澤氏:

 バイアウト投資のなかには、成長を期待して投資するという発想もあり、逆にベンチャー投資でも、マジョリティを持つことがあります。いずれの場合もどうグロース(成長)させていくのかというノウハウが重要になってきます。先祖代々続いてきたような伝統ある企業は、DX(デジタルトランスフォーメーション)でグロースさせていくことができます。私たちのベンチャーの知見やスキームは、バイアウト投資にも生きるノウハウだと思っています。

――ジャフコは北米のシリコンバレーや中国、台湾、シンガポール、香港に拠点を持ち、グローバルな投資活動を行っています。海外に進出するにあたり苦労した点は

松本氏:

 最初に海外に進出したのは、80年代、ファンドを募集するにあたって海外投資家から資金を募る必要があったことがきっかけときいています。1983年に香港、続いて1984年に北米にも拠点を設け、資金集めだけでなく、現地で投資活動も行うようになりました。

 現在のアジア、米国のチームは、現地で採用したメンバーで、彼らにファンドの運用を任せています。初期は投資の意思決定を日本で行っていましたが、試行錯誤を重ね、現地のチームに投資の意思決定もファンド運営も思い切って任せる形に行き着きました。ローカリゼーション(現地化)を重視したスタイルは、パフォーマンスを重視するためには独立性が必要という先ほどの考え方ともつながっています。

北澤氏:

 海外進出の仕方は2つあります。日本から海外企業に進出するという方法と、ローカルでローカルの人材を集め進出するという方法です。この2つは似ているようで違います。

 VCというのはローカルのことをしっかり理解していなければならず、非常に属人的な仕事といえます。海外企業に投資するために、その地域に根付いた組織を作るということで、日本の他のVCにはあまりないジャフコならではの特徴だと自負しています。

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