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販売数100万台越えの「懐中電灯」開発秘話 そのときに備える「防災の日」

SankeiBiz編集部
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 「防災の日」のきょう、日頃から常備している防災グッズを再点検する人も多いのではないだろうか。その必需品の一つである懐中電灯に100万台を売り上げるヒット作となっている商品がある。パナソニックが開発した「電池がどれでもライト」だ。その名の通り単1形~単4形の電池どれでも1本で点灯できるほか、他の機器から使いかけの電池を代替できるため「電池切れで使えない」という事態を回避できる。「究極の利便性を追求した防災ライトを作りたい」との開発者の想いから商品化された懐中電灯。その誕生のきっかけは、東日本大震災で起きた「電池の欠品」だった。

 東日本大震災で突き付けられた課題

 「電池がどれでもライト」の前身となる初号機が誕生したのは2005年。単1形から単3形までの電池に対応するタイプで、当時すでにその利便性は高い評価を受けていた。しかし、2011年に起きた東日本大震災で「製品の課題を突き付けられた」と、パナソニックインダストリアルソリューションズ(大阪府)の大井秀典さん(54)は当時を振り返る。

 震災発生直後、計画停電が行われた地域や避難地域を中心に、店頭からライトと電池の在庫が消える事態となった。初号機は単1形~単3形のいずれかの電池が2つあれば使えるが、電池は新品であることが前提。新品電池が手に走らない状況下では、電池が切れた途端にそれは意味を為さないものとなった。盲点だった。

 「現状のライトではいざというときに価値を発揮できない。ならば最高レベルまで利便性を高めた究極のライトを作ろう」という声が社内から浮上。東日本大震災の影響で世間的にも防災グッズの需要や関心が一気に高まっていた2011年末、リニューアルの開発が本格的にスタートした。

 「いざというとき」という発想からまず着目したのが、一般家庭での電池の保有状況だ。調査の結果、単3形、そして単4形の保有数が多かったことから、新たに単4形電池も使える構造にした。使いかけの電池でも液漏れなどのトラブルなく使えるよう、全ての電池を1本ずつ収納する仕様にし、テレビのリモコンなど他の機器から電池を取り出して使うこともできるようにした。

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