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金融所得課税強化「相場に冷や水」 下落基調の株式市場、専門家はこう見る!

SankeiBiz編集部
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 「当面」がいつまでか分からない

 ただ、富の再分配の施策としてにわかに脚光を浴びた金融所得課税について、首相が具体策を衆院選後の2022年度税制改正の議論で検討すると発言したことで市場には警戒感が広がった。佐久間氏は、格差縮小を目指すならフロー(所得)の格差とストック(貯蓄)の格差を分けて考えるといった全体的な議論が必要としたうえで、「お金持ちなら(税金を)取ってもいいでしょうという性急な感じがした」と批判。これについては藤井氏も「来年から検討する勢いでしゃべってしまったものだから、マーケットが失望したのも無理もない。金持ちからぶんどるというニュアンスに聞こえた」と手厳しい。

 かくして首相は11日、株式売却益をはじめとする金融所得課税の見直しについては当面先送りする考えを表明。約12年3カ月ぶりに東京株式市場の日経平均株価が8営業日連続で下落するなど株価の反応も踏まえて軌道修正を余儀なくされた。その後は分配政策だけではなく経済成長も同時に追求する考えを重ねて示している。

 下落基調が続く株価は今後、どうなるのか。佐久間氏は「日本では(今月末に)総選挙を控え、海外も不穏な動きになってきている。不透明感が強く、方向性が定まりづらいマーケットが続くだろう」とみる。首相が当面先送りを表明した金融所得課税についても、「当面がいつまでか分からず、不確実性があるのは良くない」と指摘する。

 また、金融所得課税強化の方針を受けた株式市場の動きについて、藤井氏は「過剰な反応だと思う」と分析。1億円の壁に言及した首相の念頭には超高額所得者があるとみられることから、「個人投資家のほとんどは関係ないのではないか」と冷静にみている。

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