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「指示30分遅れは致命傷」 要援護者避難ルポ 川内原発防災訓練
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政府は11日、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)で事故が発生したとの想定で、原子力総合防災訓練を開始した。2日間の日程で行われるが、訓練初日は「要援護者」とされる高齢者らの避難が行われた。東京電力福島第1原発事故では要援護者が多く犠牲になった。教訓は生かされているのか。要援護者の避難に密着した。
「連絡、こないな…」。午後0時半過ぎ、介護施設「わかまつ園」の浜田時久園長(63)は災害対策本部からの連絡を待っていた。国からは住民の避難要請が午前10時半に出ていたが、現場への連絡はまだない。わかまつ園は原発から約6キロ離れているが、PAZ圏内として扱われることになっている。
午後0時45分になって、避難を始めるよう促す防災無線が流れた。訓練に参加した5人の高齢者は職員や消防隊員に支えられ、まもなく到着した消防本部の小型バスや救急車に乗り込んだ。
「この車では無理だ」。付き添った介護職員の折田喜美子さん(65)は直感的にそう感じた。「段差が大きすぎる。訓練に参加した人たちは比較的元気な人たちなのに、それでも厳しい。本番で確実に迎えが来るのかも不安になる」
受け入れ先の調整のため、出発は対策本部から指示されることになっていたが、本部からの連絡は遅れ、バスは高齢者らを乗せたまま駐車場で待機を余儀なくされた。出発準備が整った30分後、ようやく本部から出発の指示が出た。
福島第1原発の事故では、双葉病院(福島県大熊町)の介護施設で県と現場の連絡ミスから避難が遅れ、患者ら50人が亡くなった。浜田園長は「30分の遅れは本番では致命傷になりかねない。自分の最終判断で出発する覚悟も必要と痛感した」と振り返った。
避難先は約12キロ離れた市街地にある病院。通常は車なら15分足らずで到着するが、経路は片側1車線の狭い道で、この日も道路工事による交通規制が行われていた。事故時は避難で渋滞が予想される。
職員は安定ヨウ素剤に見立てた切符を持ってバスに乗り込んでいたが、事前に配られた使用説明書には、どういう状況で誰の判断で服用すればいいのか、記述されていなかった。
訓練に参加した施設利用者の中村由江さん(85)は「脚も悪くて、今回のように周りの人に助けてもらうことなる。1人暮らしなので、夜中に事故が起こったらと思うと不安です」と話した。要援護者の避難は十分なのか。不安を残す訓練だった。(玉崎栄次)