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「笑っていいとも!」来年3月終了 小林豊氏「半年持たないと思った」

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「笑っていいとも!」来年3月終了 小林豊氏「半年持たないと思った」

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 昭和57年から続くお昼のバラエティー番組「笑っていいとも!」(フジテレビ系)が来年3月で終了する。32年間も続いた長寿番組の立ち上げにディレクターとして参加し、“ブッチャー小林”のニックネームで番組にも登場した現テレビ静岡社長の小林豊さん(62)は「半年持たないんじゃないか、なんて思っていたけどねえ」と感慨深げだ。小林さんに番組草創期の裏側を聞いた。(岡本耕治、写真=廣池慶一)

 57年夏。当時放送中の昼番組「笑ってる場合ですよ!」ディレクターだった小林さんは、横澤彪プロデューサー(P)や放送作家の高平哲郎さんが参加する会議の席上で、後番組にタモリさんを起用する案を初めて聞かされた。

 「意外の一言。タモリさんは当時、濃いサングラス姿でイグアナのまねをするなど、危ない感じのタレントだったから」

 その後、小林さんらスタッフは、東京・四谷のバーでタモリさんと接触。

 「ドアを開けるとタモリさんはカウンターの上で全裸で踊っていた。でも、話してみると、とてもきまじめで博識な人だったので驚かされた」

 企画の初期から、名物コーナー「テレフォンショッキング」と「いいとも」という言葉の2つが存在したという。

 「翌日のゲストをその場で決めてしまう乱暴なコーナーなので『テレフォンショッキング』。それと高平さんの周囲で、何か頼まれると『いいとも』と応えるのがはやっていると聞いて、『それ、いいね』ということになった」

 新番組は「森田一義アワー 笑っていいとも!」として同年10月4日に放送を開始。ゲストが決まらない、遅刻する、トークが長引いて次のコーナーが始められない…。

 生放送ゆえのハプニングに、出演者やスタッフがあわてる様子すら楽しんでしまう革新的な番組。従来のバラエティーとは違い、番組が完成するまでを見せる「スタジオドキュメント」だった。

 しかし、小林さんは「タブーを破った、テレビを変えたといわれたが、本当は『どうせ半年も持たない』と思って、適当にやってただけ」と笑ってみせる。

 58年に入ったころから番組の視聴率は高まった。番組内でタモリさんが観覧客と掛け合う「ともだちの輪!」という言葉も流行し、昼に同番組を見るのは一種のトレンドと化した。

 小林さんは火曜日担当ディレクターのかたわら、自身もテレフォンショッキングでタレント事務所などに電話をつなぐ「テレフォンディレクター」として出演し、人気を呼んだ。

 「横澤Pに『1週間だけ』といわれて出たんだけど、結局5年もやらされた。タモリさんはいたずら好きで、放送中にトラブルがあると、すぐに『ブッチャーいる?』って僕を呼ぶ。『え、ゴルフ?あいつ今日ゴルフ行ってるの?』なんてバラされたりね」

 半年で終わるはずの番組は32年も続いた。その理由について、「タモリさんが、極めて優秀なコンダクター(指揮者)だったことが大きい。変幻自在にあらゆる場や相手に合わせて、面白さを引っ張り出す。しかも、博識だから、話を意外なところに落とし込むことができる」と分析する。

 62年に番組を離れたが、その後も機会があればスタジオ・アルタのタモリさんの楽屋を訪ねるなど、交流は続いている。

 「本来、寿命が短いバラエティー番組がここまで続いたのは、タモリさんの努力のおかげで、私もうれしい。とにかくお疲れさまでした」と語った。

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