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和食、世界無形文化遺産に登録

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和食、世界無形文化遺産に登録

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 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は4日、アゼルバイジャンのバクーで開いた政府間委員会で、日本政府が提案していた「和食 日本人の伝統的な食文化」の無形文化遺産への新規登録を決めた。食に関する分野で日本から登録されるのは初めて。和食の普及がいっそう進むとともに、経済などへの波及効果も期待できそうだ。

 政府は昨年3月、和食を「『自然の尊重』という日本人の精神をあらわした、食に関する社会的慣習」として、無形文化遺産に提案。特徴を、「新鮮で多様な食材とその持ち味を尊重」「年中行事と密接に関連」などとしていた。

 また政府には、東京電力福島第1原発事故による風評被害に苦しむ国産食材のイメージを立て直し、東日本大震災からの復興の象徴にする狙いもあった。

 提案を事前審査したユネスコ政府間委員会の補助機関は、和食が「文化の多様性を反映し、人類の創造性を証明している」といった基準にかなうと判断し、10月、登録を委員会へ勧告。今月2日からバクーで開かれた委員会の会合で、是非が話し合われていた。

 「登録決定」のニュースに、日本の料理関係者には喜びの声が広がった。日本料理「なすび亭」(東京・恵比寿)店主の吉岡英尋さんは、「和食の価値がいっそう認められた。四季の移り変わりの表現、包丁技術の高さなど、もともと和食は完成された芸術。海外の人に興味を持ってもらい、国内でも見直しが進んでほしい」と語った。

 無形文化遺産は、「世界遺産」「記憶遺産」と並ぶ、ユネスコの遺産事業の一つ。2006年4月に発効した条約にもとづき、芸能、祭礼などが世界中で計257件(日本からは21件)登録されている。

 食に関する無形文化遺産は、「フランスの美食術」「スペインなど4カ国の地中海料理」「メキシコの伝統料理」「トルコのケシケキ(麦がゆ)の伝統」の4件が登録されていた。

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