東日本大震災以降、節電要請もあって省エネが大きなテーマとなっている。とくに住宅用の太陽光発電の導入が急増しているが、省エネの観点から太陽熱利用も再び注目され始めている。工学院大学の宇田川光弘教授(建築学)は、「マンションなどで太陽熱利用が復活しつつある」と指摘する。
--住宅など建築物の環境性能を研究している
「日本には四季があり年間を通じて冷暖房が必要なほか、給湯需要もある。年間のエネルギー消費量の割合をみると、地域によって多少違うが、冷房は3%程度。これに対し暖房は20~30%と多く、このほか給湯もある。暖房エネルギーを減らすには、断熱と複層ガラスが有効で、新築住宅では普及し効果をあげている。日当たりのよくない密集地の住宅などの給湯には、太陽熱利用が有効だ」
--太陽熱利用はオイルショック後に脚光を浴びたものの、その後は普及していない
「1980年代に太陽熱温水器が製品化されたが、下火になった。だが、地球環境問題で住宅の二酸化炭素(CO2)排出減という要請から、給湯を太陽熱で賄う機器を開発するメーカーが増えてきた。とくにマンションは機密性が高く比較的暖房需要は少ないが、全館の給湯エネルギーの一部を太陽熱で賄うところが増加しており、デベロッパーも意識し始めた」
--住宅では太陽熱より太陽光が普及している
「太陽光の場合、10平方メートルの屋根で1キロワットを発電できるが、太陽熱だと2~4平方メートルで給湯需要の半分を賄える。1戸の住宅で太陽光と太陽熱を両方利用する製品も出てきた」
--産業や業務用はどうか
「中高層ビルだと屋上の面積に対して床面積が大きいからコストパフォーマンスがよくないが、低層ビルだと効果は出てくる。現に、ショッピングセンターで太陽熱を導入した例はある。太陽熱利用を進めるには、建築物の設計段階、または街づくりの構想段階から考える必要がある。一方、海外では低コストということもあって、中国で太陽熱利用がものすごく伸びている。中東など日射量が多い地域で、日本政府が協力する開発計画も進んでいる」
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【プロフィル】宇田川光弘
うだがわ・みつひろ 早大大学院理工学研究科修了。1977年工学院大専任講師、80年助教授、91年教授。2011年から同大建築学部教授。再生可能エネルギー協議会特別委員。福島県出身。67歳。