再生可能エネルギーの中でも特に期待されるのが太陽光と風力発電。しかし、日照時間や風速などによる発電出力の変動が大量導入するうえで課題となる。エネルギー需給解析などを研究する東大生産技術研究所の荻本和彦特任教授は、中長期的には「電力系統への連携量を抑制できるかが鍵」と強調する。
--電力の安定供給には需要予測が必要と説く
「家庭の場合だと、固定価格買い取り制度の下では電気代が安いときに買って高いときに売り、それに合わせて家庭内の電気を使えばいいので予測は必要ない。しかし、電力系統システムは瞬時瞬時で需給のバランスが合っていないと周波数や電圧が変動するため、高い精度で需給を予測しなければならない。電力系統を結んで柔軟性をもった設備を形成するのが電力システムだから、需給予測が不可欠だ。そこに出力変動の高い太陽光などが大量に入って(連携して)くると、発電量の変動だけでなく、見かけの発電量が再生可能エネによって増えるので、需給調整の役割を担っている火力発電所などの運転が減少するという問題も出てくる。このため電力システムの調整力が低下する」
--だが、再生可能エネはもっと増えていく
「2030年で太陽光が5300万キロワット、風力が3000万キロワットという導入予測があるが、地域的に偏在しなければこの量なら電力系統側も受け入れられると思う。ただ、その先となると考えなければならない。一つは買い取り制度で契約したら優先的に買い取らなければならないという優先給電だ。制度導入時は参入者の保護もあって優先給電としたが、成熟していく過程では買い取る量を調整する必要が出てくる」
--買い取る電力量を制限するということか
「そうだ。実現するには、制限した分を補助するなどの制度も必要となるだろう。現に、買い取り制度で先行したドイツは買い取り量が増えたことで、優先給電をやめる」
--電力貯蔵などは考えられないのか
「現在の技術で電力を貯蔵するには蓄電池のコストが高すぎる。もちろん、蓄電池の技術開発が進むだろうから、技術の進展や再生可能エネの導入量に合わせて柔軟に制度を変えていく必要がある」
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【プロフィル】荻本和彦
おぎもと・かずひこ 東大工卒。1979年Jパワー(電源開発)入社。2008年から東大生産技術研究所エネルギー工学連携研究センター特任教授。再生可能エネルギー協議会分科会1(政策・統合概念)リーダー。福岡県出身。57歳。