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【Bizクリニック】太平洋技術監理有限責任事業組合 理事・山内敏秀

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【Bizクリニック】太平洋技術監理有限責任事業組合 理事・山内敏秀

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 ■犯罪抑止にもRFID技術

 RFID(非接触型ID識別)技術を前回、紹介した。RFIDは労務管理や安全管理に活用できるだけでなく、犯罪を抑止できる可能性もある。

 アフリカ・ソマリア沖海賊は2007年頃から活発化し、米国をはじめ各国が海軍部隊を派遣してその抑圧に努力している。日本も08年から護衛艦部隊を派遣し、翌09年には哨戒機2機をソマリアに隣接するジブチに展開して海賊対処に貢献している。各国の努力により、ソマリア沖海賊の活動は11年に286件だったのが、12年には99件にまで減少した。それ自体は好ましいことだが、その反動が内陸部で派生し始めている。

 現地からの情報によれば、身代金を得た海賊の一部は陸上にあがり、その潤沢な資金を元にケニアなど内陸部で海賊と同じような行動をとっている。

 問題は、この犯罪に警察の小火器が不正に利用されている可能性があるといわれていることだ。違法に流出するのではなく小火器がある期間、不正に持ち出され何となく戻される。その間に小火器を使用した犯罪が生起している。中には組織ぐるみではないかと思われる事案もあり、摘発すると警察機構の混乱を招きかねない。そこで、RFID技術の出番が想定される。

 第1段階として警察官が常時身につける警察官徽章などに各人の氏名や認識番号を入力したICタグを取り付ける。小火器を保管する武器庫にはフラットアンテナを組み込んだゲートを設置し、もしICタグなしで入ろうとすれば武器庫の鍵が解錠されないよう施錠機構と連接しておく。これによって誰が、何時何分に入庫し、退出したかを記録できる。

 第2段階として小火器の納入段階で銃の固有番号、納入年月日、配置警察署などを入力したICタグを、取り除くことができない箇所に組み込み、銃架にフラットアンテナを設置して何番の銃が何時何分に取り出されいつ戻されたかを把握する。

 第1と第2の情報を合わせれば誰がいつ、何番の銃を持ち出し、いつ戻したかが容易に分かる。さらに武器の持ち出し時間の予定を組み合わせることで、期限を過ぎても戻されていない銃があると、警報するシステムを構築できる。

 このようなRFIDは、国内では重要な書類の管理システムとして既に利用されている。ICタグはフィルム状にもできるため、フラットアンテナの垂直読み取り機能を組み合わせたファイリングシステムと社員証に組み入れたICタグ、保管庫のゲートシステムを連接し、大量の重要な書類を管理している。

 医療現場でも血液検査の検体を取り違えるヒューマンエラーを防ぐためにRFIDが使われている。このようにRFID技術は、さまざまな分野での活用が期待されている。

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【プロフィル】山内敏秀

 やまうち・としひで 防衛大卒、青山学院大国際政治経済学研究科修了。1970年海上自衛隊入隊、88年潜水艦艦長、92年海上自衛隊幹部学校教官、98年防衛大海上防衛学教室助教授、99年同教授、2000年国防論教育室教授。13年6月から現職。66歳。

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