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【生かせ!知財ビジネス】中国進出へ 誘惑と現実

ニュースカテゴリ:社会の話題

【生かせ!知財ビジネス】中国進出へ 誘惑と現実

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 日本から中国への知財提供を新たに事業化する動きが再び耳に入ってくるようになった。政治的には日本に批判的な対応を続けている中国だが、知財に関してはしたたかに日本の各層への接触を続けているようだ。

 「中国では急速な工業化をリカバリーする特許・技術が今すぐ求められている。日本の優れた知財は中国でビジネスになるはず」と話すのは都内シンクタンクのトップ。中国筋の要請で事業の立ち上げを検討している一人だ。技術移転や知財活用は未経験だが、独自の政官・金融界の人脈があると自信に満ちている。

 一方で、中国へ日本の工業や農林水産業に関する特許・技術を提供する事業を近年立ち上げた企業、団体、法律事務所、特許事務所などでは、わずか数年で撤退や事業の縮小をしているケースが少なくない。

 撤退企業の経営者に聞くと「技術マッチングに多大な労力と時間がかかる」「人材派遣を抱き合わせで要求される」「評価、価格が折り合わない」「権利が保護されない」「契約以外のことを要求される」「中国側に利害関係者が集まりすぎてコスト高になる」「最終的に対価を得られない」などの問題点を指摘する。結果として互恵的なビジネスモデルを形成できず、収益も上がらず、事業続行が苦しくなるようだ。

 加えて知財保護や管理の仕組み、費用が必要になる。問題が発生しても外国企業が中国法廷で勝つのは容易ではなく、優秀な弁護士には相当な費用がかかる。

 ジェトロ北京事務所の元アドバイザーで、中国・アジア向け知財活用の支援を専門としている国際知財活用促進連盟(IIPP)の小池清仁代表理事は、「実証に基づいて形成された実務処理スキームを備える新しいプラットホームを産学公で協力して構築することが望ましい。例えば日本版知財交易所だ」という。民間が個々に事業活動するだけではなく、国の信用力や最終的な問題解決力を背後に備える仕組みを置いて、ハブとして活用することで知財取引が安定化、活発化するとの見方だ。

 産業競争力強化を進める中、知財活用は日本の重要なテーマの一つとなっている。日本の技術輸出額は米国の6分の1に過ぎず、米国の二十数年前の水準にある。中国の旺盛な技術導入ニーズは魅力的に映る。厳しい現実をどう突破するのか、しないのか。今後の動きが注目される。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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