古くから活用されてきた再生可能エネルギーの水力発電。経済産業省によると、2012年7月の固定価格買い取り制度導入後、中小水力発電の今年1月までの導入量は5000キロワットで、相談も120件に上るなど導入機運は高まっている。神奈川大学の中西裕二教授は「導入可能な場所はまだ多く、コストももっと下げられる」と、さらなる普及に期待する。
--中小水力の技術開発のポイントは
「大規模な水力発電は、日本では開発済みで、技術も成熟化している。これからは中小水力の時代。水車を含めた設備の効率向上や部品点数減などによるコスト低下の余地はまだある。水力発電は落差と水の量でエネルギー量が決まるが、立地地点の落差と水量に合わせた適切な水車を使えば、高効率発電も可能だ。水力は他の再生可能エネルギーに比べて密度が高く、季節や昼夜間の変動も少ない安定的電源だ」
--中小の河川だけでなく、他の適地もあるのか
「最近では、砂防ダムや農業用水、さらには上下水道でも導入が始まっている。砂防ダムや農業用水なら、新たな土木工事が不要な仕組みの水車を導入することもできる。上下水道なら、もともとバルブで流水の圧力調整をしていたが、バルブの代わりに水車を置けば発電できる。初期コストはかかるが、仕組みを簡単にしてメンテナンス費用を減らせば、長期間安定的に発電できる。すでに大都市の水道局などで導入が進んでいる」
--このほかに有力なところは
「電線を敷かずに山中のトイレ用や鳥獣対策機器用電源として、中小水力は地産地消で使える。地域ぐるみで導入に積極的な自治体も目立ってきた。全国を調査すれば、適用地点はもっと増えていくだろう」
--大規模水力発電は
「戦後に開発された発電所は、設備の更新時期にきている。交換時に最新の機器を使えば、それだけで数百キロワットの出力向上が図れる。また、河川には環境や管理などのために渇水時でも維持すべき水量として維持流量が定められ、水を流していた。しかし、この水はこれまで未利用だった。これを使って発電すれば、こちらも数百キロワットの発電ができるようになる」
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【プロフィル】中西裕二
なかにし・ゆうじ 1993年横浜国立大学大学院工学研究科博士課程修了。神奈川大学准教授などを経て、2010年から現職。再生可能エネルギー協議会分科会12(中小水力、未利用エネルギー)リーダー。広島県出身。49歳。