SankeiBiz for mobile

【期限切れ鶏肉】「どこまで目配りすれば…」中国食品チェック限界 業界困惑

ニュースカテゴリ:社会の事件・不祥事

【期限切れ鶏肉】「どこまで目配りすれば…」中国食品チェック限界 業界困惑

更新

「上海福喜食品」の工場内に掲げられた、安全記録を示す電子掲示板=20日、中国上海市(新華社=共同)  中国・上海の食品会社が期限切れの鶏肉を販売していた問題は、改めて食材の中国リスクを見せつけ、各業界に困惑が広がった。

「対岸」ではない

 問題の「上海福喜食品」からファミリーマート向けチキンナゲットを輸入する伊藤忠商事は、中国当局や自社調査による全容解明を見極めた上で、「再発防止策を考えたい」としている。だが、今春からの取引開始にあたり、ヒアリングや現地工場などの視察を通じてチェック体制を構築してきただけにショックを隠せない。原料や生産、衛生管理の各段階に今後どこまで目配りできるかが大きな課題だ。

 上海福喜食品と取引はないが、中国やタイから鶏肉加工品を輸入する大手商社も、「対岸の火事」ではないとの受け止めだ。「社員が日常的に常駐しチェックしているわけではない。偽装や悪意を見抜けない可能性もある」と懸念する。

改めて管理徹底

 日本の食品業界でも、2008年に発覚した中国製冷凍ギョーザ中毒事件などを受け、安全管理やトレーサビリティー(履歴管理)の徹底を図ってきたが、今回の問題で、改めてチェック体制を確認する動きが広がっている。

 スーパーのイトーヨーカドーやセブン-イレブンなどを運営するセブン&アイ・ホールディングスの広報担当者は「輸入業者には、仕入れ段階でかなり厳しい品質基準で管理してもらっているが、改めて徹底してもらう」と話す。

 同社はグループで一括の原材料調達を行っており、鶏肉については現在、メーンの仕入れ先はタイ。担当者は「仕入れ先選択の決め手は関税率などもあるが、一番は工場での工程管理など安全を担保できているか」と強調する。

 流通大手のイオンも、鶏肉については、鳥インフルエンザの流行以来、「中国産はほとんど使用しておらず、タイやブラジル産が大半」というが、すべての海外産食材について管理体制のチェックを行うとした。

以前から使わず

 コンビニ大手のローソンでは、ファミリーマートと同様、ナゲットなどで中国産鶏肉を使用。広報担当者は「改めて調査した上で、必要があれば安全対策を強化する」と話す一方、「こういう問題が起きると、中国産などの類似商品への風評被害が懸念される」と表情を曇らせた。

 バーガーキング・ジャパンでは、ハンバーガーなど約50種の定番メニューでは中国産食材は全く使用せず、期間限定メニューに使うチップ状のニンニクだけが中国産。広報担当者は「日本の消費者は、中国産食材に不安を感じることが多く、ニーズに合わせて、以前から使わないようにしている」と説明した。

 ファミリーマートの中山勇社長は23日、東京都内で記者団の取材に応じ「信頼関係を裏切られた。国内ではお客さまの信頼を裏切った。大変申し訳ない」と謝罪した。「さらにチェックを重ね、安心できる商品を提供していきたい」と強調した。米マクドナルドのドン・トンプソン最高経営責任者(CEO)は「少しだまされた」と語った。

ランキング