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訃報
経済学者の宇沢弘文氏、死去 86歳 成長モデル理論発展 文化勲章
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理論経済学の第一人者で知られる東大名誉教授の宇沢弘文(うざわ・ひろふみ)氏が18日に脳梗塞のため死去していたことが26日分かった。86歳だった。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻、浩子(ひろこ)さん。
1951年に東大理学部数学科を卒業後、経済学の研究を始め、56年に渡米、米スタンフォード大の経済学部の准教授、シカゴ大教授を歴任した。帰国後の69年から東大経済学部教授となり、80~82年には学部長を務めた。
元々の専門だった数学を生かした数理経済学の分野で数多くの実績を上げたほか、経済成長モデルに関する理論を発展させ、後進の経済学者に大きな影響を与えた。83年に文化功労者、97年に文化勲章を授与され、一時はノーベル経済学賞の可能性もとりざたされた。
後年は、成長優先の政策を批判する立場として、地球温暖化をはじめとする環境保全の切り口から発言を続けた。主要著書は、「近代経済学の転換」「自動車の社会的費用」など。
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学習院大の宮川努教授の話「東大で1976、77年度に宇沢先生のゼミに所属したが、ケインズの直弟子である世界的な経済学者を連れてきて学生に英語の講演を聴かせたり、工場や浄水場などに学生を連れていくなど、非常に厳しくも面白い発想にあふれた先生だった。近代経済学の基礎を作っただけでなく、経済学ではすくい取れない分野を独自に考えていた。86歳で亡くなったが、その活動とエネルギーは、120歳生きてもなし得ないくらいの仕事量だったと思う」
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東大大学院の吉川洋教授の話「戦後、日本の経済学研究が世界の先端を走ることに寄与した研究者の一人であり、米国から日本に活躍の場を移されてからは、地球温暖化に対して早くから警鐘を鳴らすなどの先駆的な考えを持っている人だった。経済の動きは市場原理主義ではなく、社会的な背景も加味されなければいけないとの考えは、私自身だけでなく、多くの経済学者の研究の底流となっている」