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【どこまで進む? 再生可能エネルギー】

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【どこまで進む? 再生可能エネルギー】

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三峰川電力の蓼科第2発電所(最大出力141キロワット)  ■中小水力開発 ネックは法規制と技術者不足

 固定価格買い取り制度(FIT)以降も純国産エネルギーである中小水力の導入は約1万キロワットにとどまる。開発期間の長さが大きな要因だが、長い間新規開発されなかったため「法規制の緩和が進まないほか、技術者が少なくなっていることが大きい」と指摘するのは、丸紅100%出資子会社で中小水力の開発を進める三峰川(みぶがわ)電力(東京都千代田区)特別顧問の古矢千吉氏だ。

 国内で開発可能な(包蔵)水力は2700地点以上、1200万キロワット以上という。このうちFITの対象となっている3万キロワット以下は約2600地点、約1000万キロワットに及ぶ。他の目的で許可を得ている用水を利用する従属発電でも33万キロワットだ。古矢氏は、太陽光や風力発電の耐用期間が20年程度なのに対し「水力はメンテナンスすれば50~100年はもつ」と指摘。設備利用率も太陽光の10%程度、風力の20%程度に比べ、50~60%と高く「もっと開発されるべきだ」と強調する。

 開発が進まない要因の一つは法規制だ。環境アセスメントの必要はないが、関連する法律は河川法、電気事業法、自然公園法、森林法とさまざまだ。中小水力でも砂防法、農地法などクリアすべき規制は数多い。特に自然河川を利用した一般水力開発の規制緩和はほとんど進んでいない。例えば1000キロワット程度の水力開発には10億円近くかかり、資金力がないとできない。

 技術面でも、電気だけでなく、地質や流況調査、設計など「幅広い技術やノウハウが必要」(古矢氏)だが、新規開発が進まなかったため、電力会社や自治体にトータルシステムが分かる技術者が少なくなったという。

 2012年からFITの対象となり、従属発電の開発は活発化しているが、一般水力は法規制などから進んでいないのが現状。「水力は他の再生可能エネルギーに比べ発電単価が安いので、優先的に投資すべきだ。メンテナンスを含めて地場産業としても成り立つようになる。特に自治体が熱心になってほしい」と主張する。

 東京電力などで長年、水力発電に携わってきた古矢氏は昨年、中小水力の推進団体「水力アカデミー」を設立し、事務局長を務めている。その目的は、「水力の素人が開発しても、流量をうまく利用できなければ、川のごみになる。電気や土木技術者が正しい知識を広めるとともに、人材育成を図っていきたい」としている。

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