ニュースカテゴリ:社会
話題
【どこまで進む? 再生可能エネルギー】
更新
東京スカイツリー地区の地下にある地域冷暖房システムのメーンプラント ■スカイツリー、熱供給で最高レベルの省エネ
2012年5月に開業した東京スカイツリー(東京都墨田区)。634メートルという日本一の高さから一躍、人気観光スポットとなった。周辺を含めた地域冷暖房への熱供給は、地中熱という再生可能エネルギーも利用した地域熱供給方式を採用、地域冷暖房システムとしては国内最高レベルの総合エネルギー効率で省エネを達成している。
熱供給区域は、スカイツリーと商業施設(東京ソラマチ)、オフィス棟、公共施設、東武鉄道本社ビルが含まれる。電力を利用した高効率の熱源機器を導入すると同時に、ヒートポンプ・蓄熱システムによる地域冷暖房方式としては全国で初めて、地中熱を導入した。
熱供給事業を担当するために06年に設立された「東武エネルギーマネジメント」は、地中熱を導入したきっかけについて「未利用エネルギーの活用を検討する中で、建物建設のために基礎杭の穴を掘るなら、それを利用して地中熱を導入しようということになった」(佐藤清常務)という。深さ18.6メートルの基礎杭6本に熱交換チューブを挿入して地中熱を利用するほか、深さ120メートルのボアホールと呼ばれる地中熱専用の二重チューブ21本を掘削。これらチューブの総延長は1万2000メートルに達する。
地中熱に加え、夜間電力を利用した約7000トンを貯水できる大容量の蓄熱槽を備え、冷水・温水を蓄える。この水は災害時には約23万人分の生活用水として利用可能という。熱供給システムの総投資額は約40億円だ。
この熱供給システム全体の年間総合エネルギー効率(COP=消費電力1キロワット当たりの冷却・加熱係数)は「開業1年目が1.351、2年目が1.348と、計画していた1.35をほぼ達成」(日高友幸・同社エネルギーセンター長)、国内の熱供給システムとして最高を実現した。年間の1次エネルギー消費量は個別熱源方式に比べ約44%削減、二酸化炭素(CO2)排出量も半減できたという。このCO2削減量は、墨田区全体の面積と同等の森林が吸収する量に匹敵するという。
東武エネルギーは熱供給事業だけでなく、太陽光発電事業にも乗り出した。東武鉄道グループが持つ遊休地や車両工場の屋上、貨物線路などを利用して建設することを決め、昨年7月には第1弾となる葛生発電所(栃木県佐野市、約1200キロワット)が完成した。今年度内にさらに5カ所、計5250キロワットを建設する計画だ。