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マッサンと最愛の妻リタ…足跡たどりスコットランドへ 「マッサン」と呼ばれた男、竹鶴正孝の夢
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カールトンヒルからエディンバラ旧市街を望む。エディンバラ城を含む重要施設はイングランド軍の攻撃を避けるため岩山の上に建てられていた NHK連続テレビ小説「マッサン」のモデルとなった「ジャパニーズウイスキーの父」竹鶴政孝氏と、彼を支えた最愛の妻・リタさん。彼らの足跡をたどって、英・スコットランドを訪れた。(産経新聞編集委員 関田伸雄)
スコットランド入りしたのは、英連邦からの独立を問う住民投票が終わった翌日。結果は賛成が45%、反対が55%で、独立は退けられた。
「首都」であるエディンバラを出発点に、リタさんの出身地であるカーカンテロフ(現・イーストダンバートンシャー地区)、二人が将来を誓い合ったローモンド湖畔、フォートウィリアムと北上。ネス湖からインヴァネス、「スペイサイド」と呼ばれるスコッチウイスキーの一大産地を経て南下し、イングランド軍との攻防戦で名高いスターリング城や産業革命の拠点だったグラスゴーを巡った。
住民投票の余波はほとんど感じられなかったが、エディンバラ城や国立美術館、ネス湖に臨むアーカート城やスターリング城での展示や解説には、イングランドに対抗して独立を守った先達たちへの親愛と尊敬の念があふれていた。
一方、竹鶴氏も訪れたグレングラント蒸溜所や、ベンネヴィス蒸溜所では、働く人々のすべてが「世界一のウイスキーをつくっている」と信じ、自らの役目を黙々と果たしていた。
蒸溜されたウイスキーは樽詰めにされ、出荷されるまでに最短で4、5年かかる。自分が生きている間には出荷されないかもしれない。出荷されてもほかの原酒と混合され、味が変わってしまうかもしれない。それでも、ベンネヴィス蒸溜所のロス・コリン社長は「ウイスキーづくりは自分の人生だ」と言い切る。
リタさんは母や妹弟をスコットランドに残し、竹鶴氏ともに日本で生きることを選んだ。もちろん、竹鶴氏への愛が最大の理由だったろう。ただ、それだけだったか。
母国・スコットランドに対する誇りと自信。それもまた、竹鶴氏のウイスキーづくりを支えることに、リタさんを駆り立てた―。そう思うのは考えすぎたろうか。