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【生かせ!知財ビジネス】弁理士向けシステム最大手が倒産

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【生かせ!知財ビジネス】弁理士向けシステム最大手が倒産

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コスモテック特許情報システムの本社が入っていた東京の大手町ビル  知財ビジネスの中堅企業、コスモテック特許情報システム(東京都千代田区)が倒産した。弁理士向けの特許管理システム販売の最大手だ。11月18日、東京地裁に自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。負債総額は約30億円。10月初めに突然休業し、出願中をはじめ多くの仕掛かりデータや管理データにアクセスできなくなった。「特許事務所の過半数が同社のサービスを採用していた」(都内弁理士)ため弁理士業界は騒然となった。日本弁理士会も会員の問い合わせの多さに異例の調査に乗り出していた。

 特許情報の電子データ化に伴い、知財業界もデータサービスやシステムサービスの需要が増えたが「弁理士はプライドが高い上に手間がかかってもうからない」(都内知財システムベンダー役員)といわれた。1992年設立の同社は「愛のサポート」をうたい弁理士向けに特化し、特許事務所のシステム構築やパッケージソフトの開発販売、サポートに加え人材紹介や開廃業支援まで、きめ細かな密着サービスを強みに信頼を獲得し、顧客を拡大した。

 商品開発や経営を支援する弁理士も多く、主力の特許業務管理システム「PAT-DATA」シリーズの他、弁理士の中小企業相談対応用に、特許情報解析ソフト「イノベーションナビ」を2008年に開発し、高い評価を受けてきた。上場準備を進めていたが弁理士市場は小さく、売上高を増やすには新しい分野が必要だった。経産省OBを迎えて、09年には中小企業知財経営推進会を立ち上げたが効果は上がらず、税理士業界の開拓や、大手システム会社とのクラウドサービス連携など手を広げたが期待通りの成果は出なかった。

 以前は創業者で社内を掌握していた、小笠原道之会長の方針で、社員の“しつけ”が行き届き、昔ながらの堅実な中小企業の雰囲気があった。最近は短期間で社長交代を繰り返し、上場目標期日が近づくのに伴って焦りから経営にブレが生じていたと推察される。今年の春、小笠原会長が急逝し、求心力が低下した。

 開発したソフトはいまも評価が高く、多くの人財を育て、弁理士に知財相談業務への目を開かせた功績もある。同社の役員や社員が再び知財業界で活躍することを期待したい。(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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