太陽光や風力発電など出力変動の大きい再生可能エネルギーの普及には蓄電設備との連系が有効といわれる。なかでも大量の電気を効率よく出し入れできるNAS(ナトリウム・硫黄)電池への期待は大きい。同電池を製造している日本ガイシの美馬敏之執行役員NAS事業部長は、普及への課題として「一段のコスト削減と再生エネ連系への制度設計」を挙げる。
--再生エネ普及の切り札として蓄電池が注目される
「NAS電池は当初、夏場の電力需要ピーク対策として電力会社の変電所に設置し、都市型揚水発電所として活用する狙いで開発した。しかし開発がほぼ完了した1990年代後半にはピーク電力が伸びないなど電力業界の事情が変化したため、2002年の事業化にあたり大規模工場など電力需要家への設置に狙いを改めた。その中で電気を効率良くためられ、出し入れも容易というNAS電池の特性が立証され、それを生かして再生エネと組み合わせた利用を探っている。国内外合計の納入実績は約45万キロワットで、そのうち再生エネ連系分は約7万キロワットだ」
--今後の期待はやはり、再生エネとの連系になる
「期待はしているが、市場性や需要動向は読めていない。今は実証試験の段階であり、コマーシャルベースで蓄電池を再生エネと連系させる際の制度が明確になっていない。蓄電池が再生エネ普及の切り札として広く認知されるには課題も多い」
--具体的には
「1つはコスト。経済産業省は蓄電池戦略の中で蓄電技術の育成を掲げており、コスト目標は揚水発電並みの1キロワット時当たり2万3000円。NAS電池の現状は4万~5万円で、昨年から経産省の技術開発支援を受けてコストダウンを加速させている。もう1つは制度的な問題。誰が蓄電池を導入し、そのコストを誰が負担するのか。制度が整わないと広く普及していくことにはならない」
--コスト目標の達成は可能か
「コストダウンには技術的な側面と量産効果があり、両面が整えば可能だ。部品材料原価など製造コスト削減とともに、建設費を含めたトータルコストにも目を向けている。電池をコンテナに組み込んでパッケージ化することで建設コストを半減し、全体で5~10%のコスト削減を可能とする設置工法も近く提案していく」=おわり
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【プロフィル】美馬敏之
みま・としゆき 名古屋大院工学研究科原子核工学専攻修了。1982年日本ガイシ入社。電力事業本部NAS事業部品質保証部長、ガイシ事業部製造部長、NAS事業部長などを経て、2013年6月から現職。57歳。北海道出身。