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ネット宅配クリーニング「業法適用外」 大手困惑、営業届を出せず
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インターネットを利用した宅配クリーニング業者がクリーニング業法に基づく営業の届け出を出せないケースがあることが8日、分かった。保健所が「洗濯物を直接取り扱わないため(同法の)適用対象外」と判断したためだが、厚生労働省は「適用対象となる可能性が高い」と見解を異にしている。業者側は「顧客に安心して利用してほしい」と届け出を希望している。ネット宅配クリーニングをめぐるトラブルは後を絶たず、消費者問題の専門家は「なんらかの規制があることが望ましい」と指摘する。
同法に基づく届け出を受け付けられなかったのは、全国に10万人以上の会員がいるネット宅配クリーニング大手「ホワイトプラス」(東京都)。
同社のサービスでは、利用者は同社が運営する専用サイト「リネット」で洗濯物の集荷を依頼する。洗濯物は提携するクリーニング工場に配送され、工場で内容を確認。同サイトで料金と内訳が通知され、洗濯後に宅配便で返送される。料金はクレジット決済などで、苦情の窓口は同社だ。提携工場は、同法の届け出をしている。
保健所は今年3月、同法がクリーニング所や「洗濯物の受取及び引渡し」をする取次所に届け出義務を課していることから、洗濯物を直接扱わない同社は適用対象外と判断。
一方、同法を所管する厚労省は「洗濯物を直接扱っているかは関係ない。詳細を聞かなければ分からないが、クリーニング業者となる可能性が高い」とし、届け出の必要性があるとみている。
同社は「関係省庁と相談しながら法令順守はもとより、利用者に安心してサービスを利用してもらえるよう事業運営を進めたい」とし、5月にはトラブル時の補償などを公表した。
同種サービス「ネクシー」を運営する「クラスタス」(長崎県)は保健所に相談した結果、洗濯物の宅配先である関連クリーニング会社で同法の届け出をしていることもあり、届け出は必要ないと判断された。同社は「特殊なクリーニングの内容を熟知していない業者が窓口で営業しているからトラブルが続出する」と同法の適用を訴える。
全国クリーニング生活衛生同業組合連合会(全ク連)も「クリーニングが危ないと思われれば、業界全体の信頼低下につながる」と危機感を強める。国民生活センターには平成26年度、ネット宅配クリーニングの利用者から衣類の紛失や賠償額などの相談が5年前の約9倍の156件寄せられた。
「法律が時代に対応できていないようだ」と指摘するのは、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会幹事の上田孝治弁護士。「業法の規制がかからない上、トラブルの場合、業者独自の基準で補償されることになる。消費者としては店舗がない分、交渉が難しくなるだろう」と注意を促した。